開豊瓊玉膏
- 2022/08/04
- 18:25

最近、ものを貰う幸運に連続して恵まれていて、恐らくは先日赤十字の募金箱に15円を投げ入れた功徳なのではないかと思っているのだが、少し前にはN先生から瓊玉膏を御恵送頂いた。N先生は日本東洋医学会の指導医でもある漢方の大家で、其の筋では著名な臨床家であるが、春からの蒼流庵易学講座に関心を持って頂き、現在熱心に受講してくださっている。瓊玉膏は『東医宝鑑』や『張氏医通』などに見えて居る膏薬で、我が国では其の昔...
清肺排毒湯
- 2021/12/13
- 18:33

遅ればせながらといったところではあるが、新型コロナ用の漢方“清肺排毒湯”を用意しておくことに。麻黄・炙甘草・杏仁・石膏・桂枝・澤瀉・猪苓・白朮・茯苓・柴胡・黄芩・半夏・生姜・紫苑・款冬花・射干・細辛・山薬・枳実・陳皮・藿香という二十味を超える複雑怪奇なる構成はお世辞にもエレガントとは言いかねるけれど、私が風邪を引いた時に常用するさる秘薬も最初十五味近い処方構成から馬鹿にしていたものの、実際飲んでみる...
牛黄清心丸
- 2020/05/25
- 18:32

気の小さい庵主は、人前で話さなくてはならない場合に、北京同仁堂の牛黄清心丸を一丸服する事にしている。もっとも、あまり効いているような気もしないので、掌に「の」字を書いて飲み込むのと大差ないようにも思うが、他に出来る事も余りないから、やれるだけのことはやって本番に臨むようにしているというだけの話。北京同仁堂の牛黄清心丸は、私が初めて口にした中成薬で、蝋の入れ物に入っていて、これを割って(私はたいてい...
肺炎どうなるナリー
- 2020/02/01
- 14:21

プリ画像より武漢発の新型肺炎通称“コロちゃん”は、先ほどのNHKニュースによれば、中国国内の患者数が1万人を突破し、死者は259人にのぼっているという。2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)では、世界全体で774人の死亡者を出したというが、感染者数は計8096人だったらしいから、すでに中国国内の感染者数だけで圧倒してしまっているのである。SARSの時は、不思議と我が国にはウイルスの持ち込まれる事が無かった...
加藤先生と
- 2020/01/29
- 23:34

昨日、京都出張の帰りに精華町の国会図書館関西館に立ち寄って資料を渉猟していたら、名古屋の加藤久幸先生から突然お電話を頂いた(そこらの公立図書館とは規模が違う為、通話可能な場所まで駆け足で出ていくのに思ったより時間が掛ってしまった)。翌日久しぶりに大阪出張が入り、しかも最後の訪問先が蒼流庵とは目と鼻の先に位置する為、どこかで一献傾けたく候とのこと、幸い予定も空いていたので、17時過ぎに駅近くで落ち合う...
参鶏湯を求めて~生薬探偵の年末~
- 2019/12/30
- 01:20

今日は、大阪市内にて新羅王の参鶏湯で忘年会。鍋に対して鷄が大きすぎるが、ぎりぎりセーフ。塩&胡椒で味を調えて食べるのだが、新羅王の末裔によると、かなり濃厚に仕上がっているとのこと。疲弊しきった年末のカラダに精気が漲る。庵主持参の亀泉CEL-24は、広末涼子ちゃんの故郷である高知県の名酒。李時珍の『本草綱目』における人部の記述は正しいのか、ギュっと抱きしめる基準はどういったところにあるのか、アカデミックな...
逝きし昭和の面影
- 2019/11/29
- 18:21

座談会「吉益東洞を語る」(『漢方と漢薬』昭和15年1月号81頁~108頁)過ぎ去って二度と戻らぬ過去の時代を懐かしみ、「あの頃は良かった」と自らを慰めるのは老人の習性の一つ(それも大抵は傍に居る若い世代をうんざりさせる)であるが、その時代を生身では経験していない世代でさえ、そう感じざるを得ない事柄というのも色々あるようだ。例えば、今日漢方医学に関する情報誌は、『日本東洋医学雑誌』に始り、実に様々なものが発...
日本医史学会関西支部学術集会
- 2019/11/17
- 23:59

今日は五回目の参加となる日本医史学会関西支部の学術集会で天王寺へ。参加費がリーズナブルなのと、会場が自宅から近いこともあって、毎年会外から参加しているのだが、それも今年が最後になりそうな予感がしている。今回はいつもより小さい会場で、高知の御大も京都医学史研究会のボスも来られておらず、年々お馴染みの顔ぶれも少なくなっているようだ。毎度お決まりの発表の演者も少なくないが、今日は後藤艮山の発表が偶然にも...
夏井睦医師の漢方観について
- 2019/11/04
- 18:57
ラップやワセリンを用いた創傷・熱傷の湿潤療法を提唱する夏井睦先生(1957~)と何度かメールでやり取りさせて頂いたのは、今から十数年前のことで、当時は一般書をまだ書かれておらず、ブレイク前夜といった時期であったように記憶している。先生の書く文章は非常に面白くて明晰で、当時音楽ネタ以外は隅から隅まで目を通したように思う(オススメの映画に関しては私の目にはどれもくだらないものばかりに映ったが)。肝心の湿潤...
漢方の平和
- 2019/10/24
- 18:28

少し前のこと、千日前をブラブラしていて、“漢方の平和”という看板が目に留まった。朝方で店舗は閉まっていたが、平和薬局という漢方薬局の看板らしい。東京にある根本幸夫先生の漢方薬局は平和堂というそうだが、そことは関係なさそうである。ところで、平和といえば、今年のノーベル平和賞は、候補として取りざたされたスウェーデンのえらく面相の宜しくないおねぇちゃんではなく、エチオピアのおじさんが受賞することになったが...
第38回埼玉漢方特別講座③
- 2019/10/17
- 18:57

翌朝からの埼玉漢方特別講座一発目は蒼流庵主人による「生薬探偵の生還」。本当は、発表なしの聴講オンリー参加を希望していたのだが、直前に引っ繰り返されてしまい、無理矢理、演壇に立たされる羽目に。新しいネタを仕込む余裕は全く無かったので、仕方なく昨年京大で発表した「生薬探偵の冒険」に少々手を加えて話す事にした。自分ルールで、同じ内容の再演はやらない事にしているのだが、こんな土壇場では如何ともしがたいし、...
第38回埼玉漢方特別講座②
- 2019/10/16
- 18:07

伊吹山から下山の後、合宿会場である長浜のホテル&リゾーツ長浜へ向かう。秩父の大友先生らは台風による交通事情のせいで、3時過ぎ着という中途半端な到着となってしまい、伊吹山参戦は諦めて、先にホテル入りされていた。通常は、翌朝から研究発表が行われるのだが、今回は特別講演として、伊吹山散策の興奮冷めやらぬ内にと、加藤先生には夕食前に伊吹山の薬草についてお話くださるよう依頼してあったので、一コマ特別枠を設け...
第38回埼玉漢方特別講座①
- 2019/10/15
- 19:25

日月と、おけらの合宿である埼玉漢方特別講座に参加して来た。メンバーが関東在住である為、例年、西はせいぜい長野くらいで、栃木や福島といった場所で開催される事が多く、庵主は中々参加できずに居たのだが、今年、おけらの会で司会をされている向川先生が大阪に引っ越された事もあり、初の関西開催企画が持ち上がり、どうせなら薬草の宝庫たる伊吹山で、という話になった。10月は学会ラッシュである事もあって、いつもの11月に...
漢方治療研究会へ
- 2019/10/06
- 21:03

今日は、梅田で開催された第29回漢方治療研究会へ。授賞式に出席する為に遠征したのは福島会場の時で、二年前のことだ。正直なところ症例発表には全く興味がないのだが、次に大阪で開催するのは恐らく十年後くらいだろうから、普段会えないような人に会う機会でもあるしと、苦手な早起きを頑張って参戦した次第。全体に、大御所格の出席率が福島の時より低く、質疑応答の白熱ぶりも今一つだった気がするが、前回が白熱し過ぎたのか...
『団地』
- 2019/09/20
- 18:25

華岡青洲は、世界初の全身麻酔による乳癌の摘出手術によって其の名が知られているが、実際には漢蘭折衷の医家で、所謂蘭方医ではないことを読者諸賢はよく知っている筈である。ところが、『華岡青洲の妻』は、麻酔薬の開発が主たるテーマで、烏頭や蔓陀羅花に僅かに言及される他は漢方医としての青洲が全くと言って良いほど描かれておらず、在京時代には吉益南涯に師事して古方を学んでいるのだが、吉益の「よ」の字も出てこないの...