学問に就いて
- 2023/02/21
- 18:37
学問は人を善くもし、悪くもする。また、無学な馬鹿は害も少ないが、学問を身に着けた姦佞邪智の徒が世を害することは甚だしい。学問と言っても東洋の伝統的なそれは本来自身の修養の為のものということになっているから、幾らのめり込んだとて害などあっては困るのだが、所詮それは建前の話である。ただ、北宋の滅亡を招来したとして昔から頗る評判の悪い蔡京など、際立った学問があって国に害を成すこと甚だしい人物であったが、...
いただきもの
- 2023/01/22
- 10:13

先日蓍策をお送りした読者様より埼玉の銘酒“神亀”を御恵送頂いた。この読者様は利酒師の資格を有して居られるとのこと。実は、神亀は8年ほど前、確か濁りだったかを一度だけ購入したことがあるものの、それが今一つ自分には合わなくて、以降敬遠していたという程ではないけれど、手が伸びなかった蔵元である。ただ、今回の手造り純米酒はどこか熟成酒のような変わったフレーバーがあって中々美味しい。或いは庵主に合いそうな銘柄...
エラい人・エラくない人
- 2022/04/07
- 18:46
先日の記事に書いた某易の大家は、プロフィールを拝見するに中々華麗な経歴の持ち主であるらしく、色々有名な先生に師事なさっているようだ。成程、これでは本人が大家と錯覚するのも、それこそ“大過”ではないのやも知れぬ。しかし、こういう人を見ていて実感するのは、エラい人に習ったからといってエラい人になれるとは限らないという至極当たり前の事柄で、私がイチローに習ったからといって野球選手になれないのと同じである。...
ロシアのおじさん言うことにゃ
- 2022/03/03
- 18:11
大阪はブスばかりだと言ったら同郷人の顰蹙を買うやも知れぬが、上京のたびに明らかな美人率の高さを肌で感じる。また、俗に秋田美人などと言う位、北に行くほど美人が増えると言わんばかりだ。勿論、土佐に広末涼子が居るように、また熊本に伴都美子が居るように、必ずしも一律に南がダメだという訳でもなかろう。しかし、土佐美人や肥後美人などという言葉は耳にしたことがないから、北へ行くほど美人が増えるというのは暗黙の内...
おみくろん
- 2022/01/27
- 18:21
再びコロナの新規陽性者数が急増して我が大阪もマンボーに又もや突入、行きつけの飲食店が時短や休業に移行して、外食率の高い庵主には文字通りの冬の時代に逆戻り。と言っても、目の敵にばかりされる飲食店こそ気の毒な限りで、友人の営む中華料理店(普段なら予約なしには入店困難)もキャンセルの連続だという。しかしながら今回のオミクロン、散々言われているように感染力こそ高けれど、重症化率は滅法低いということで、加え...
250枚の法則
- 2022/01/07
- 18:50

その分野のエキスパートになる為には、1万時間を費やすことが必要という「1万時間の法則」なるものがあるそうだ。これが妥当な数字なのかどうかはよく分からぬが、私も自分で発見した「250枚の法則」というものを持って居る。自分は或る分野を学習する時、wordでA4のまとめノートめいたものを拵えるのを習慣としているのだが、それが250枚を超えた辺りから、その分野に対する自信が生まれて来るという経験を何度も繰り返していて、...
れっつすたでぃ
- 2022/01/05
- 16:45

三が日は久しぶりに漢文のお勉強。テキストは以下の三冊(ただし全て再読。年末年始は新規の学習より過去の復習に向くという自論)。西田太一郎『漢文法要説』濱口富士雄『漢文語法の基礎』楊伯峻『漢文文法と訓読処理』今更こんな入門書かと言われれば、なるほど私の漢文読解力など其の程度である。しかし言わせてもらえれば、入門書だからと言って程度が低いことを必ずしも意味しないし、それなりにキャリアが長くなっても入門書...
謹賀新年
- 2022/01/01
- 14:25

蒼流庵随想を御覧の皆様、新年明けましておめでとう御座います。昨年は年初の山雷頤初九から然して面白からぬ一年になるものと覚悟していましたが、思いもよらぬ凶運に見舞われて、或いは生涯を振り返っても過去最悪の年であったかも知れず、山雷頤の印象が自身の中で急降下した年であったように思います。それも馬鹿者によって外部より齎されたものなので、自衛の方策すら無く、甚だ受動的なものであったのは遺憾の極みと言う他あ...
紙幣と子平
- 2021/09/03
- 18:12

いよいよ渋沢新札の印刷始まるを新聞にて知らされたが、此の何処の発展途上国の紙幣かと見紛うような下品なデザインの新札については以前一度記事にした事がある。ゆえに同じ内容は繰り返さないが、庵主もたいていの日本男児がそうであるように古銭と紙幣のコレクションに血道をあげた事のあるクチで(古銭と切手はのちにコレクターとして覚醒する男が受ける洗礼の二大であろう)、その経験から言わせてもらえば、日本の紙幣は古い...
アクセスカウンター復活
- 2021/04/25
- 11:05

かれこれ一年ほど前からだろうか、いつの間にやらトップページ下部右下にあったアクセスカウンターが雲隠れしてしまって難儀していた。もはや絶滅危惧1類に分類しても良いようなキリ番企画を飽きもせずやり続けて来たけれど、カウンター失踪により99999のキリ番も大台10万も何ら催せなかったのは痛恨の極み。恐らく、設定をちょちょいとイジればすぐに復活するのではと思われたが、下手に手を出して修復不能の事態に陥るのが...
文明の利器
- 2021/04/19
- 20:20
竹簡周易をしげしげ眺めていると、我々が当たり前のように日々使用している紙とペンが如何に有難いものかを痛感せざるを得ない。いま私たちは図書館の架蔵資料など1枚十円で苦も無くコピーして持ち帰るけれど、印刷技術の興る遥か以前に竹簡が書物の標準であった時代に(もっとも竹簡竹簡と言って我々は竹ばかり思い浮かべるけれど簡牘簡策の素材を必ずしも竹が独占していた訳ではなく、辺境の地では竹を産しない為に他の材料が使...
謹賀新年
- 2021/01/01
- 11:03

蒼流庵随想を御覧の皆様、新年明けましておめでとう御座います。生薬ネタ等続いて易学方面の読者様に退屈を強いる期間が長く続きましたが、昨年は易学関連の記事を増やすように努めました。拙い内容だったかもしれませんが、少しは楽しんで頂けるところがあったら幸いです。昨年はもうウンザリする位にコロナ一色の世相でしたが、幸い周囲には今のところ感染者は出ていないようで安堵しています。昨年のコロナ占に関しては大きな誤...
独学の難しさ
- 2020/08/22
- 15:00
私のように孤軍奮闘型の独学者の場合、体系的な知識を授けてもらう機会などあろう筈は無いから、得てして思わぬ間違いを犯す事も多い。これは独学者の宿命なので、程度の差はあれ如何ともし難い所ではあるが、振り返って恥ずかしい間違いも随分多かった事が思い返される。例えば、2010年台半ばの数年、大阪府下に産する生薬を求めて山野を駆け巡った時期があるが、荊芥としてアリタソウをカウントしていて、その誤りに気付くのに二...
猪飼祥夫先生工作展
- 2020/08/13
- 09:44

下京区杉屋町で鍼灸院を営む猪飼祥夫先生の工作展にお邪魔して楽しい版画作品の数々を鑑賞させて頂いたのは7月初頭だったから、既にひと月以上前の事であるが、感動冷めやらぬ内に記事にさせてもらおうと思いつつ、論語ネタ連載の只中に唐突に版画鑑賞記を差し挟むのも何だか憚られて、こんなに遅い紹介となってしまった。これ以上遅くなると日記よりむしろ回想録の類に入ってしまいそうで備忘録的に書き記しておく事にする。先生...
過則勿憚改
- 2020/06/16
- 18:07
どれだけ書き上げた時に達成感を感じた自信作であっても、せいぜい其の満足度は持って半年、早ければひと月程の寿命でしかないという実感が私にはある。あれほど万全を期したつもりでも、たいていは或る時思わぬ誤謬を発見するのであって、これまでに紙媒体で公にした三十を超える拙稿の中で、今読み返してみて一つの瑕疵さえ見い出せないというのは僅かに一つか二つという有様であるが、幸い、それによって結論そのものの変更を強...