高島台を歩く①~高島山公園と望欣台の碑~
- 2013/10/15
- 20:28

高島嘉右衛門は45歳で実業界の引退を表明し、以降人生の大半を大綱山の山荘で過ごした(といっても財界は彼を放っておく筈はなく、北海道炭鉱鉄道会社の創立に参加したのも、愛知セメント会社を興したのも引退表明の後である)。『高島易断』も、この大綱山での執筆であり、現在は高島の姓を取って高島台と呼ばれている地域である。現在は住宅地となっているが、この一角にこれまた高島の姓を冠した高島山公園がある。蒼流庵主人が...
乾坤一代男・紀藤元之介著
- 2013/10/14
- 22:34

易占だけでなく、高島嘉右衛門の全体像を知るのに何か良い書物をご紹介しようと思い、父の愛読書でもあり、私の嘉右衛門との出会いでもある高木彬光著『大予言者の秘密』がまっさきに浮かんだが、この書物の下品なタイトルの付け方と角川文庫版の表紙を飾るスキンヘッドのおっさんにはどうにも抵抗を感じた。そこで、今回は紀藤元之介先生(1918~1981年)による『乾坤一代男』(初版発行1956年)をご紹介することにしたい。本書は...
易断に見る明治諸事件・片岡紀明著
- 2013/10/13
- 21:12

『高島易断』は、易占を志す者すべてが手に取るべき書物と信ずるが、初学者には聊かハードルが高かろう。現行のものは上巻1218頁、下巻1200頁と大部で、定価は税別36000円であり、これだけでも初学者を慄かせるに十分なものがある。しかも、八幡書店の十八番である影印復刻であるため、当然旧字旧仮名遣い。 そこで、今回は『易断に見る明治諸事件』片岡紀明著(1995年・中公文庫)を御紹介する。本書は、推理作家の故高木彬光氏(...
高島易断
- 2013/10/11
- 17:37

高島嘉右衛門(1832~1914)は、明治九年に実業界からの引退を表明し、高島台(旧称大綱山)に隠棲して、更に易学に没頭し、十五年には『高島易断』の執筆にとりかかる。十九年に初版が刊行された後、二十七年の増補版を経て、三十九年には全五巻に改められた。本書は高島易断の集大成であると同時に、我が国易学史上に打ち立てられた金字塔である。経文の解釈は聊か退屈だが、収められた448の占例はどれも名占であるばかりか、近...
高島嘉右衛門のはなし
- 2013/10/10
- 19:26

易学について何から書き始めるのが順当だろうかと思案してみたが、やはり手始めは高島嘉右衛門(1832~1914)に御登場願うしかあるまいという月並みな答えに行き着いた。それほどに、易といえば高島嘉右衛門、高島嘉右衛門といえば易、という図式が人口に膾炙している。しかし、高島嘉右衛門が一介の売卜者であったとしたら、如何に其の易が名人の域に達していたとしても、歴史に名を留めたかは疑わしい。嘉右衛門は、恐るべき的中...
このブログを始めるにあたって
- 2013/10/09
- 15:02
つい先日まで五行も八卦も何も知らなかったような気がするけれど、振り返れば易学や漢方を学び始めて結構な月日が流れたことに気付かされる。師は既に亡く、同じく世を去った同学の士も少なくない。「蒼流庵随想」と題して、今ここに書き始める拙文は、私の個人的な勉学の備忘録になることは間違いないが、同時に先達への鎮魂歌でもありたいと思っている。独りよがりな日常雑記を書き散らかすだけのものにはしたくない。公に発信す...