『新撰類聚方』龍野一雄編著
- 2015/04/29
- 18:55

『新撰類聚方』龍野一雄編著(中国漢方/1959年初版)数ある龍野一雄先生(1905~1976)の著述の中でも、特によく読まれたのは『新撰類聚方』であろう。原著たる『類聚方』は、吉益東洞が明和6年(1769)に発刊した古方派必携の書物で、『傷寒論』『金匱要略』から治療の基礎となる方剤を抜き出して分類配列し、治療の指針となるべき処方の目標条文を原典から抜粋配列したものであるが、理解の難しい所もあった為、後に続々とその註...
日本学士院
- 2015/04/27
- 21:09

在りし日の龍野一雄先生講演の準備で安藤昌益を調べているうち、1950年に初めて医家としての安藤昌益に光を当てた龍野一雄先生(1905~1976)が、帝国学士院の嘱託員(ウィキペディアでは「会員」となっているが誤りである)であったことを知った。帝国学士院は現在の日本学士院の前身で、日本のアカデミズムで第一級の学者として扱われると、たいていは日本学士院の会員となって殿堂入りするのだが、さすがに会員のお歴々はビッグ...
神楽坂の夜
- 2015/04/24
- 23:12

左:奈良場先生と右:蒼流庵主人(バードグリル トリノにて)秩父での講演を終えた翌日は、昼から銀座のギャラリー夢幻庵と渋谷の炎色野へ行き、日暮れから神楽坂へ。神楽坂といえば、我らが日本易学界の至宝・奈良場勝先生である。先生は前の週にNHKの南青山教室にて易学講座を開講され、蒼流庵主人も同じ月に講演デビューを飾った訳で、二人でお祝いがてら、久々の易学家の饗宴と相成った訳だ。そういえば、先生と初めてお目にか...
講演
- 2015/04/23
- 19:44

お花見の後、羊山亭に車で戻り、いよいよ講演開始という手筈だったのだが、参加者諸氏が桜の撮影に夢中になるあまり定刻になっても会場入りしないというハプニングがあって、少し遅れてのスタートとなった。事務局長の坂本先生から歯の浮くような演者紹介があり、緊張で二日間一睡も出来ていない蒼流庵主人に更に追い打ちをかける。2月に京大でお会いした際は、予定があって不参加と仰っていた千葉の平地先生が無理やり予定を変更...
秩父へ・・・③
- 2015/04/21
- 18:32

美の山公園頂上から秩父市内を望む毎年、オケラの会では4月の勉強会を始める前に、お花見をするのが恒例になっているそうで、私も楽しみにしていたのだが、大阪は連日の雨で桜は無残に散ってしまっており、しかもシーズンからいって一週間ほど遅れている。案の定、東京に着いてから、あたりを見渡してみても、桜は花見に耐えられるような雰囲気ではなかったので、残念に思っていたが、西武秩父線で飯能を過ぎた辺りから、桜が満開...
秩父へ・・・②
- 2015/04/20
- 18:47

よく考えてみると、最近は上京しても夜行バスでの行き帰りで、新幹線を使うのは4年ぶりくらいだろうか。普段利用するのは、片道2000円程度の事故が起こっても文句も言えないような激安バスであるが、さすがに新幹線は安心感が違うと感じる。12時過ぎに東京駅に到着したのだが、丸の内線への行き方が分からず迷子になり、結局、予定していた電車には乗り遅れてしまった。秩父行きは本数が少ないので、一本のロスは結構大きい。結局...
秩父へ・・・①
- 2015/04/18
- 18:14

先週、初めて埼玉県の秩父へ行ってきた。秩父行きの理由は、何と講演を行うためである。そして、私にとっては初の講演=講師デビューである。講演ということは、驚くべきことに私に講演を依頼しようなどという団体があった訳だ。その団体とは、秩父の漢方医・大友一夫先生率いる「さきたまオケラの会」である。オナラの会でもオカラの会でもない。オケラの会である。何やらふざけた名前の会であるが、これがまた実にハイレベルな傷...
『明解 漢方処方』西岡一夫著
- 2015/04/10
- 18:24

『明解 漢方処方』西岡一夫著(浪速社・1966年刊)今日ご紹介する『明解 漢方処方』は、古くから薬局漢方の虎の巻として密かな人気を集める好著で、私の周りにもこの本の愛用者が少なくない。著者の西岡一夫先生(1924~??)は、オリオン薬局を経営されていた薬剤師で、南涯研究の大家だった人という。わずか150頁の小著で、収録方数も本論九十六方、増補六十五方の合計百六十一方というコンパクトなものであるが、纏め方も簡潔で...
『漢方治療の実際』大塚敬節著
- 2015/04/09
- 18:10

『漢方治療の実際』大塚敬節著(南山堂/1963年刊)『漢方治療の実際』は、『漢方診療医典』と同じ出版社から酷似した装丁で出ていて、タイトルも『漢方診療医典』の元版である『漢方診療の実際』と一字しか違わない紛らわしいものであるが、本書は頭に「症候による」が付いており、大塚先生が単独で執筆した全く別の本である。大塚先生の日頃の勉強ノートの集成的内容であるが、病名で分類した『漢方診療医典』と違って、本書は「...
『漢方診療医典』大塚敬節・矢数道明・清水藤太郎共編
- 2015/04/08
- 18:17

『漢方診療医典』大塚敬節・矢数道明・清水藤太郎共編(南山堂/1969年刊)『漢方診療医典』(大塚敬節・矢数道明・清水藤太郎共編)は、良くも悪くも昭和漢方を代表する書物と言って差支えなかろう。明治期に国策によって壊滅に近い状態まで衰退した日本の漢方ではあったが、少数の漢方家により細々とその命脈は保たれてきた。そして、昭和に入ると、漢方の復興運動が勃興し、古方派や後世方派が一致団結して、啓蒙が図られるよう...
難病奇方系列叢書
- 2015/04/05
- 12:47

難病奇方系列叢書「参苓白朮散篇」(中国医薬科技出版社)中国医薬科技出版社から出ている難病奇方系列叢書は、一冊につき一方剤を解説したシリーズで、現在までに全四輯69冊が刊行されているようだ。分量は少ないもので200頁、多いものだと400頁近くあり、一方剤でよくもこれだけ書けるものだと感心するが、それが漢方の奥深さというものなのだろう。ほとんどは、日本の漢方家にも馴染みの方剤であるから、徹底して調べたい時には...
講座「江戸時代、易占術のいろいろ」
- 2015/04/04
- 13:42

江戸時代の易書研究において前人未到の業績を上げられた奈良場勝先生の待望の講座が4月から開講される。会場はNHKカルチャーセンターの青山教室で、受講料は何と全6回で税込19,440円というお値打ち価格だ。“秘伝”だの何だのと銘打って枝葉末節に過ぎない小手先のテクニックを御大層に開陳するだけの講座がどれほどの料金設定になっているかは、業界に詳しい人でなくとも、御承知のことと思う。今回は初学者を対象に、なるだけ平易...
『方剤図析』高忠英編著
- 2015/04/03
- 18:16

『方剤図析』高忠英編著(中医古籍出版社/1989年刊)『方剤図析』高忠英編著は、種々の方剤の薬物配伍を簡潔な図式を添えて解説したもので、何がどうというほどのこともないのだが、講座を持たれている先生には、参考になる一冊ではないかと思うので、ご紹介した次第。初学者にはこの手の図式を使って説明すると、方剤のイメージが掴みやすく親切である。中国では人気があるのか、古書価はややお高め。...
『中医名方臨証秘用』方文賢主編
- 2015/04/02
- 18:31

『中医名方臨証秘用』方文賢主編(中国中医薬出版社/1993年刊)本書は、数ある中国の名方から270餘方を選んで解説を施したものであるが、表題の通り、より臨床に直結するようなヒントに満ちた記述になっている。版が小さく引き易いのも良い。また、昨日紹介した『中医治法与方剤』よりも、日本の漢方家に馴染みのある処方を中心に編まれているようだ。人気があるのか、中国の市場では割に高い古書価で取引されている。...
『中医治法与方剤』陳潮祖著
- 2015/04/01
- 18:52

『中医治法与方剤』陳潮祖著(人民衛生出版社/1975年初刊)方剤の中医学的解説を知りたくなった時に、その簡潔明瞭な解説で裨益されること多大なのは『中医治法与方剤』陳潮祖著である。本書は、有名な『中医臨床のための病機と治法』(神戸中医学研究会訳/原題『中医病機治法学』)と双璧を為す、陳潮祖先生(1929~)の代表的な著作であるが、残念ながら未だに邦訳が無く、中文書で入手するしかない。1975年の刊行以来、版を重ね...