『張仲景対薬集』王玉芝等編
- 2015/06/27
- 14:11

『張仲景対薬集』王玉芝等編(山西省晋東南医学専科学校/1984年刊)本書は、『傷寒論』『金匱要略』の二書から、ペアになって用いられている生薬の組合せ147組を抜き出して解説したもので、このように薬味をペアで捉えるアプローチは最近では田畑隆一郎先生の所謂「二味の薬徴」が有名であるが、本書はあくまでも中医学的な対薬を解説している。吉益東洞の本草学は基本的に一薬一能であり、生薬の相互作用というものは否定されてい...
『張仲景薬法研究』王占璽主編
- 2015/06/26
- 18:06

『張仲景薬法研究』王占璽主編(科学技術文献出版社/1984年刊)『傷寒論』『金匱要略』で使われている薬物を解説した本は日本でもあるにはあるようだが、私がよく引くのは、王占璽氏の手に成る『張仲景薬法研究』で1984年の刊行である。中文書で翻訳はない。以前、同著者の『傷寒論脉法研究』を御紹介しているが、この著者の本はどれも水準が高く良く出来ていて、私は目につく限り購入して来たが、これまで上梓されたものは10冊に...
『張仲景研究集成』錢超塵・溫長路主編
- 2015/06/21
- 20:54

『張仲景研究集成』 錢超塵・溫長路主編(中醫古籍出版社/2004年刊)『おけら』11号への寄稿文を書くに際して参考にした書物がいくつかあるのだが、その内の一冊が今日ご紹介する『張仲景研究集成』だ。本書は2004年に中醫古籍出版社から上梓されたもので、上下巻合わせて2300頁を超え、国内外から精選された収載論文は1000篇近くに上る。臨床に関わる論考が多いが、私が今回の執筆に当たって参照したのは、主に仲景その人について...
漢方誌『おけら』
- 2015/06/19
- 20:29

『おけら』11号(2015年5月発行)秩父の漢方医・大友一夫先生率いるさきたまオケラの会が2010年から発行している漢方誌に『おけら』がある。年に二回春秋に発行され、先週最新の第11号が手元に届いた。私は第6号から投稿させてもらっているので、もう半分の号にはなにがしかの文章を発表していることになる。『おけら』は、会員の先生方が少しでも日頃の勉強の成果を発表し、お互いの刺激になればという大友先生のお考えから刊行が...
漢方製剤運用秘伝~其の参~
- 2015/06/10
- 23:08

風邪というのは、基本的には太陽病から始まる。少なくとも『傷寒論』ではそう説く。そして、太陽病は基本的に発汗剤を使って治すことになっており、代表的な発汗剤として、桂枝湯・葛根湯・麻黄湯が登場する(あとはこれらの変方が多い)。実際には、桂枝湯や麻黄湯を単発で使うということはあまりなくて、だいたいは葛根湯が代表格と言っていい。「葛根湯医者」という落語の演目もあるくらい、日本では人気の方剤である(もっとも...
漢方製剤運用秘伝~其の弐~
- 2015/06/09
- 20:40
お次の秘伝も結局はチャンポン調剤なのだが、秘伝其の壱が同一方剤のメーカー違いを混ぜ合わせたのに対し、秘伝其の弐は同一方剤の剤型違いを組み合わせる方法である。これも畢竟、メーカー違い品を組み合わせる結果になることが多いのだが、品質のバラツキを整えるのが主目的であった秘伝其の壱に対して、秘伝其の弐は効果の持続時間をコントロールすることにより重点を置く。漢方製剤にはいくつかの剤型があるが、所謂エキス顆粒...
漢方製剤運用秘伝~其の壱~
- 2015/06/08
- 20:46
漢方製剤もよく効かせようと思うと、色々な工夫が必要になってくる。言い換えれば、ちょっとした工夫で、単純に服用するよりも、より効果を高めることが出来る訳だ。さして難しいことではないから、秘伝などという大仰なものでもないのだが、専門書にもこういう裏ワザ的なことはあまり書かれていないから、読者諸賢の為にちょっぴり書いておこうと思う。まず、一つ目は、メーカーの異なる製剤を混ぜて用いる「チャンポン」調剤であ...
勝昌
- 2015/06/06
- 10:45

お笑い芸人という人種が基本的に嫌いな蒼流庵主人の数少ないお気に入り芸人にショウショウが居る。しかしながら、ほとんど大阪の番組にしか出ていないらしいから、関東の人には馴染みがないかもしれない。ところで、庵主が漢方を始めた頃は、もっぱら一元製薬の錠剤に頼っていたのだが、この数年はもっぱら台湾から勝昌の製品を取り寄せて使っている。クリックすると拡大台湾の勝昌製薬と言えば、世界でも最高峰の漢方製剤メーカー...
煎じ薬とエキス製剤
- 2015/06/05
- 18:45
煎じ薬に拘りを持つガチな漢方家には、インスタントな気配漂うエキス製剤は一段低く扱われている。一方、エキス製剤を中心に投薬する漢方家に言わせれば、そのような態度は所詮漢方家のエゴに過ぎず、エキス製剤には十分な効果があるし、どうしたって高くつく煎じ薬よりも、安価かつ手軽に服用出来る点で、エキス製剤の方が結局は患者の為になるのだと主張する。果たしてどちらの立場の方が穏当であろうか。双方譲らないから、この...
蒼流庵土瓶
- 2015/06/03
- 19:31

蒼流庵土瓶以前付き合いのあった陶芸家のMセンセイは、魯山人を凌駕すると称する天才白磁作家で、そのMセンセイにお願いして作ってもらったのが、写真の土瓶である。信楽の耐火土を使って還元焼成したので、中々に味わいのある土瓶に仕上がった。以前、キリ番プレゼントにした湯呑は、天照石という宮崎産の薬石を練りこんでいるのだが、この土瓶は天照石を水で溶いて内側に塗りつけ、釉薬として使用してみた。これが活水効果を付与...
優秀な煎じ器・土瓶
- 2015/06/02
- 20:21

土瓶マスク(アニメ「デュエル・マスターズ VS」より)漢方の煎じ藥と言えば、土瓶で煎じるものと相場が決まっている。もっとも、一昔前には今のようなガラスのマイコン煎じ器など無いから、煎じる手段も陶器以外には鉄器か銅器くらいしか無かった訳だが、土瓶というのは生薬から成分を抽出するという点で優れた働きを有することが今日では確かめられている。昔の人が実に最適な手段を選択していることに今さらながら驚かされよう...