満腹な萬福寺
- 2016/02/25
- 18:17

黄檗山萬福寺中国式のおもてなしが如何なるものか体験するには、普茶料理を食べに行くのが一番だ。普茶料理は、江戸初期に黄檗宗と共に伝来した中国の精進料理で、日本の精進料理と違ってカラフルでボリュームも多く、一品ずつの大皿料理を分け合って食べるのが特徴である。 庵主は加賀井先生らと連れだって2012年の2月に宇治観光と絡めてこの中国式精進料理に挑戦した。そう、まさに「挑戦」という表現がピッタリのハードな内容な...
新中国料理 HARAKAWA
- 2016/02/24
- 18:36

新中国料理 HARAKAWA(大阪府堺市南区檜尾3140-1)中華料理では、光明池にある新中国料理 HARAKAWAさんにも足繁く通っている。丹甫さんと同じく2010年に出来た新しいお店で、こちらもちょいお高めのお店だ。付近には高級住宅地もあって、この手のちょいお高め、しかし、めちゃ高でもないという中の上~上の下くらいの価格帯のお店が受けているような印象がある。ランチは、1556円のおすすめランチ、2297円のレディースコース、3520...
中国料理 丹甫
- 2016/02/23
- 18:55

中国料理 丹甫(堺市堺区大町東2丁1-27 ハークスビル 1F)宿院の丹甫さんはこのところお気に入りの中華料理店だ。2010年のオープンだから割に新しいお店だが、堺イチとの呼び声も高く、なかなか予約の取れない日々が続いた。最近は予約もそれなりに取りやすくはなったが、ランチといえど前日までの要予約で、入店時間も最終が13時、しかも駐車場無しというからハードルが高い。気軽には寄り付けない気配が漂っている。「丹甫」とい...
『中国食物史』篠田統著
- 2016/02/20
- 12:58

『中国食物史』篠田統著(柴田書店/1974年刊)『中国食物史』は、ユニークな、そしてべらぼうに面白い本だ。著者の篠田統(1899~1978)は、栄養生理学から食物史研究に転じた学者で、庵主もよく出入りする大阪教育大学で長年教鞭を執った人らしい。理学畑の出身とはいえ京大卒で、特に歴史に転向してからは薮内清時代の人文研に頻繁に出入りしていたそうだから、この著者も無理やり京都支那学の分野に押し込んで、青木正児に続け...
『随園食単』袁枚著
- 2016/02/16
- 18:22

『随園食単』袁枚著(岩波文庫/1980年初版)青木正児(1887~1964)の手がけた書物の内、最も多くの人に読まれたのは、袁枚(1716~1797)の『随園食単』の訳業であろう。著者の袁枚は清代の大詩人で、食通としても名高い。24歳で進士に及第した秀才であるが、若くして官を退き、江寧(南京)に買った廃園のある邸宅を「随園」と名づけて隠棲、自らの料理人に他家の料理を学ばせて美食を楽しみながら、書を読み詩を書いて生涯を送...
『江南春』青木正児著
- 2016/02/13
- 18:45

『江南春』青木正児著(東洋文庫/1972年刊)私の好きな中国紀行に、青木正児(1887~1964)の『江南春』がある。恐らく、日本人の手に成る中国紀行中、最も優れたものではないかと思う。著者は、京大で狩野直喜や幸田露伴に学んだ人で、それまで経学に偏りがちだった日本の支那学において、戯曲や小説、絵画といった分野の研究を開拓したパイオニアである。本書は、大正11年、著者36歳の時に、江南つまり揚子江以南の地方を二ヶ月...
『老子原始』『老子の研究』武内義雄著
- 2016/02/10
- 20:45

『武内義雄全集』第五巻(角川書店/1978年刊)京都支那学の真の嫡流と言って差し支えないのは、恐らく武内義雄(1886~1966)であろう。実際、内藤湖南も狩野直喜も、自身の学問上の後継者と考えていたフシがある。そして、その学風も又、狩野から受け継いだ清朝考証学的な訓詁校勘の学と内藤から受け継いだ実証主義を駆使するもので、後輩に当たる宮崎市定などと比べても、より京都支那学黄金期の学問を王道路線で継承していると...
白鳥庫吉の墓
- 2016/02/07
- 06:39

白鳥家之墓(雑司ヶ谷霊園/東京都豊島区南池袋4-25-1)戦前、我が国の東洋史学において、内藤湖南と双璧を成した白鳥庫吉(1865~1942)の墓所は、東京の雑司ヶ谷霊園にある。内藤湖南と邪馬台国の所在地を巡って論争を繰り広げたのは余りにも有名(湖南は邪馬台国畿内説を主張し、庫吉は北九州説を主張した)。学習院教授、東京帝国大学文科大学史学科教授を歴任し、東宮御学問御用掛として皇太子時代の昭和天皇の教育にも関わっ...
「シナ」の語源について
- 2016/02/04
- 18:58

「シナ」という語は、近代の日本人が創作した中国に対する蔑称だとする漠然としたイメージを世間一般の人々は持っているらしい。少なくとも、英語圏では全て「China」の表記であるから、近代日本人の創作であろうはずはない。「シナ」なる呼称の語源について、我が蒼流庵随想の読者諸賢には今さら解説の必要も無いものと思うが、日中関係が険悪化している昨今につき、一寸触れておきたいと思う。結論から先に述べると、「シナ」の...
『支那史学史』内藤湖南著
- 2016/02/01
- 20:20

内藤湖南全集第十一巻(筑摩書房/1969年刊)湖南の全集では、『支那史学史』の収められた第十一巻も捨てがたい。表題の通り、中国の歴史ではなく、中国における史学の歴史を扱った巻で、こちらも又湖南の京大での講義(大正年間に前後3回に渡って講義されたらしい)を書籍化したものである。中国における史官の起源から精緻を究めた清代の史学まで、各時代の史学の特色について紹介しているが、著者が実に多くの書物を渉猟して夫々...