祖父のこと
- 2016/05/31
- 18:33

祖父は苦労人で、赤貧の中から身を起こした。現在の県立宇和島東高等学校(セカチューの片山恭一やK-1の石井和義らは卒業生)の前身の一つである宇和島商業学校を出た後、どういう成り行きかは今となっては判らぬが、伊達家に奉職して、旧宇和島藩主伊達家11代当主・伊達宗彰(1905~1969)に仕えた。一般の方は、「伊達」と言えば、仙台を思い浮かべられることと思うが、宇和島藩は慶長十九年(1614)に伊達政宗の庶長子・秀宗(1...
宇和島へ④
- 2016/05/30
- 18:19

新墓地から九島を望む人という点で一番嬉しい収穫だったのは、曾祖母の一族に会うことが出来た点だ。謄本には曽祖父嘉平に嫁いだのは、九島村の福岡幸治の二女とある。祖父の手帳に「白浜町798 福岡幸治」とあり、この旧番地を頼りに、白浜に入って、地元の方に聞くと、福岡幸治は10年ほど前に亡くなったという。曾祖母の父・つまり私の高祖父に当たる人が10年前まで生きていたはずはないが、近くに住む親戚の福岡氏を教えられ...
宇和島へ③
- 2016/05/29
- 11:08

庵主より五代前の先祖・長治には男子が無かったらしく、三浦の隣村である遊子浦の浦辺氏から婿養子を迎えて家を継がせている。これが高祖父の千太郎で、弘化四年生まれとあるから、グレゴリオ暦に直すと、1847年となって、ちょうどエジソンが生まれた年、作曲家のメンデルスゾーンの没年にも当たっている。鄙びた漁村であるのは三浦と変わらぬが、遊子は棚田が有名で、「日本農村百景」にも選ばれている。遊子は八ヵ所の集落に分か...
宇和島へ②
- 2016/05/28
- 09:04

宇和島市役所から取り寄せた除籍謄本には、自分から数えて五代前の先祖に長治という人が記載されており、市街地より南西の方角にある三浦という漁村に住んでいたようだ。つまりここが一族発祥の地ということになる。海の水はとても澄んでいて、真っ黒に日焼けしたご夫婦が海苔だかワカメだかの海藻を天日干しにする作業をしている。土地の人だろうから、恐らくは物凄く遠い縁者ではないかとも思う。郵便局で住宅地図を見せてもらっ...
宇和島へ①
- 2016/05/26
- 18:11

宇和島という土地のことが気にかかりだしたのが何時の頃だったか、正確には覚えていない。しかし、本格的な興味を覚えたのは、父が倒れて危篤に陥ってからのことだ。祖父正義は宇和島の生まれで、泰平寺という曹洞宗寺院の敷地内で生まれたという。其の父、つまり私から言えば曽祖父に当たる嘉平は、網の修繕を生業としていたらしいが、これが働かない男で家族には随分苦労をかけたらしい。此の駄目親父が余程気に入らなかったのか...
易学探偵の生還
- 2016/05/23
- 19:35
先週、丸4日かけて四国から山陰、山陽を車で踏破した。しんどかった。何せ、初日以外は車中泊とは言うものの略徹夜である。今流行りの(?)エコノミーなんたらと隣り合わせだ。かかる過酷なプランを組んだのは、ひとえに貧乏性の成せる技だが、易学や医史学に関する重要な発見も幾らかあったので、それはいずれ書こうと思っている。帰宅して以降、体が重だるく、とても蒼流庵随想を更新するほどの気力がなかった。もう若くはない...
談山神社~漢方的奈良散策④~
- 2016/05/18
- 22:11

談山神社(桜井市多武峰319)最後は峠を越えた多武峰にある談山神社。ここは特に漢方や薬草とは関係なく、近場の観光スポットとしてオプションで付け加えられたようだ。紅葉の名所として有名で、標高が高くて周囲よりも遅咲きの桜も楽しめる為、春にも賑わいのある場所だ。国宝の粟原寺三重塔伏鉢は、現在奈良国立博物館に寄託されているが、十三重塔をはじめ多くの建造物が重要文化財の指定を受けており、拝殿や十三重塔は戦前に...
森野旧薬園~漢方的奈良散策③~
- 2016/05/17
- 20:57

森野旧薬園(宇陀市大宇陀上新1880)昼食の後は、言わずと知れた森野旧薬園へ。とは言っても、恥ずかしながら庵主は或る理由で長らく行く気が起らず、今回が初めての訪問。森野家の祖先は、吉野南朝に仕えたと伝えられ、大和国吉野郡下市に居住していたらしい。初代兵部為定(?~1568)が、農業の傍ら葛粉の製造を始め、吉野の修験者の間に広まったことで「吉野葛」の名称が生まれたというから、随分古い話だ。その後、数代を経て...
大願寺薬草料理~漢方的奈良散策②~
- 2016/05/16
- 20:41

お昼は車を駐めさせてもらった道の駅の裏手にある大願寺の薬草料理。大願寺は、聖徳太子創建と伝えられる古刹で、最近では薬草を使った精進料理で人気らしい。境内の毘沙門堂を守るのは、狛犬ならぬ狛虎!ところで、タイガーバームには何故か虎からの抽出物は入っていない!お上品な見た目ここで、庵主を含む現地合流の4名は、自己紹介をさせられることに(こういうの苦手なのよね)。なんと、現地合流組の一人は、佐賀からの参加...
薬の館~漢方的奈良散策①~
- 2016/05/15
- 21:23

薬の館(奈良県宇陀市大宇陀上2003)「岡山から奈良へ漢方研修ツアーがあるので参加されませんか?」と誘って下さったのは、鍼灸師のI先生。森野薬草園を中心にしたツアーらしいが、近場過ぎてこれまで足を運ばずに何年も来てしまった。道の駅で待ち合わせたが、岡山組のマイクロバスは天理ICを降りてからの国道が少々混んでいたらしく、少し遅れての到着となった。庵主はマイカー合流組なので、早めに出発して、近くにあるカザグ...
勝昌・杞菊地黄丸
- 2016/05/11
- 23:31

勝昌の漢方製剤は、基本分量が200g(単方の場合は100gのみ)で、その上に600g入りのボトルがある。600gというと個人で消費するには結構な量であるが、慢性病で毎日服用するなら、この位の量で買う方がお得だ。写真は、頼まれものの杞菊地黄丸。これまで200gで取り寄せた際は、いつも散剤で来ていたのに、600gで注文したら、何故か丸剤で届いた。600gは丸剤しかないのだろうか。まぁ、地黄丸であるから、文字通り丸剤で飲むのが本...
莊松榮
- 2016/05/08
- 14:46

庵主が台湾の勝昌の漢方製剤を愛好していることは、折に触れて何度か書いてきたが、墓石フレンドで東洋医学の大家でもある千葉の先生より「日本では知られてないけれど、台湾には勝昌より良い製品を作ってるメーカーがあるのよ、蒼流庵ちゃん。莊松榮っていうんだけどね、ウフフ」と唆されて購入したのが、写真の11種十五本(頼まれものを含む)。勝昌に慣れているからか、何となく見た目はダサく感じるけれど、新鮮と言えば新鮮。...
マエストロ青木 with 蒼流庵 in Kyoto
- 2016/05/05
- 10:34

例年なら桜のシーズンに京都を散策するのだが、今年はマエストロのお仕事の都合で日取りが合わず、GWに京都入り。本来なら、GWに京都入りするなど、人混みを嫌う庵主の選択するところではないが、我々が訪れるような場所は大抵凡俗どもの穢れを知らぬ。それは嵯峨嵐山の如き屈指の観光地さえ例外ではない。安倍晴明公嵯峨御墓所(右京区嵯峨天竜寺角倉町)京都駅前で待ち合わせて先ず向かったのは、安倍晴明公嵯峨御墓所である。墓...
『不老・長寿への挑戦~瓊玉膏未病法~』粟島行春著
- 2016/05/01
- 14:09

『不老・長寿への挑戦~瓊玉膏未病法~』粟島行春著(富民協会/1982年刊)粟島行春先生の『不老・長寿への挑戦』は、瓊玉膏の解説書であると同時に道家医学の優れた概説ともなっている。本書は、漢方書としては粟島師の処女作に当たり、時代的な内容の古さや若書き故の誤りもあるけれど、筆致は軽快にして情熱的で、先生の当時の熱気が伝わってくるようだ。巻頭には、当時参議院議員で生理学の世界的権威でもあった高木健太郎先生...