“押し貸し”という蛮行について
- 2016/08/13
- 10:07
本を貸してくれと頼まれるのも厄介だが、もっと厄介なのは、頼んでもいないのに「これを読め」と突き付けてくる“押し貸し”行為であろう。本人は手前勝手な親切心に溢れていて何ら悪気を持っていないから反ってタチが悪い。あまりにシツコいと、気の小さい蒼流庵主人など断り切れずに、借り受ける(?)ことになるのだが、気が小さいものだから、早く返さねばと焦燥感に駆られて落ち着いた読書など出来よう筈もないし、返す以上は何...
蒐集熱心も良いけれど
- 2016/08/12
- 17:27
資料の複写依頼をされる方というのは、当然、是が非でも其の文献に目を通したいと思っておられる方だと思う。言い換えれば、是が非でも目を通さねばならない程のこと(いわゆる秘伝?)が書かれていると思っておられる訳だ。しかし、これは私自身の経験から言うのだが、その手の資料に千金に値するような内容が書かれていることはまず無いと言って良い。私はこの事に気付くのに十数年もかかってしまったが、いつまで経ってもこれに...
複写依頼は謝絶につき悪しからず
- 2016/08/11
- 00:01
ここ数日、書物の賃借等の問題について書いてきたが、これには理由がある。このブログを開設してもうすぐ三年になろうとしているのだが、当方所蔵の資料を借り受けたいとか複写をお願いしたいといった依頼が跡を絶たない。見ず知らずの人間にメール一つで本を貸して呉れなどという非常識な依頼は流石にそう多くは無いのだが(それでも無い訳ではない)、資料複写の依頼は頻繁とは言わずとも、忘れた頃にはやって来るのである。断っ...
『断易入門』菅原壮著より
- 2016/08/10
- 00:56

『断易入門』菅原壮著(東洋書院/増補版2001年刊)断易にあまり関心のない蒼流庵主人の蔵書中には、当然のことながら断易書は殆ど無く、僅かに指折り数えられる程度の書物が書架の片隅で文字通り肩身の狭い思いをしているに過ぎない。菅原壮先生の『断易入門』なども、そんな肩身の狭い思いをしているであろう一冊であるが、2001年に東洋書院より刊行された増補版(初版は1969年刊)の後半には、著者が『易学研究』や『実占研究』...
ガアドナー随筆より
- 2016/08/09
- 21:47
田中菊雄(1893~1975)と言えば、苦学の末に列車ボーイから山形大学の教授に上り詰めた立志伝中の英語学者で、一般に『岩波英和辞典』の編纂者として知られているが、この人が戦前に著した本に『現代読書法』という名著があって、第三十章の「書籍の貸借」は、英国の文人A・G・ガアドナー(アルフレッド・ジョージ・ガーディナーのことか?)なる人物の随筆の一節を引用して始められている。出典が記されていないのだが、恐らくは...
本を買おう
- 2016/08/07
- 10:00
多くの知識人が、本というものは手元に置いて利用すべきであると主張していて、私のような浅学非才の身の上でさえ、此の意見には大いに共感するところがある。日垣隆さんなどは図書館を利用する人を軽蔑に近い感情で見ているようだ。私自身について言えば、図書館は頻繁に利用しているのだが、借り受けるのは以下の場合に限られる。・読んではおきたいが、再読の可能性を否定できる場合・一部の複写のみが目的の場合・高価かつ絶版...
『風の書評』百目鬼恭三郎著
- 2016/08/05
- 18:24

『風の書評』百目鬼恭三郎著(ダイヤモンド社/正編:1980年刊、続編:1983年刊)昭和51年10月、今をときめく週刊文春の書評欄に“風”と名乗る匿名書評子が登場し、連載終了までの六年間、世の物書き達を震え上がらせた。“風”は、該博な学識と透徹した眼差しを持ち、当時世に蔓延っていた愚書駄本の数々を鋭利な毒舌で以て片っ端から血祭りに上げたのである。後、それらの書評は精撰されて正続二冊の単行本となったが、続編が上梓さ...
『書物巡礼記』森本哲郎著
- 2016/08/04
- 21:03

『書物巡礼記』森本哲郎著(文化出版局/1985年刊)森本哲郎(1925~2014)と言えば、アナウンサーの森本毅郎(1939~)の兄で文明批評の第一人者として知られた評論家であるが、何となく俗っぽい装いの本を量産しているような良からぬイメージが先行して、長らく其の著書を手に取る機会を持てずに居た。所謂“食わず嫌い”というやつだ。その何とはなしに抱いてきた偏見を改めるきっかけになったのが、今日ご紹介する『書物巡礼記』...
『本棚探偵の冒険』喜国雅彦著
- 2016/08/03
- 22:17

『本棚探偵の冒険』喜国雅彦著(双葉社/2001年刊)喜国雅彦氏(1958~)のエッセイ集『本棚探偵の冒険』は、本好きには堪らなく面白い本だ。著者の本業は漫画家であるが、探偵小説の蒐集家でもあり、エッセイ集たる本棚探偵シリーズは現在4冊刊行されていて、本書は其の第一作目である。登場する本は基本的に探偵小説なのだが、軽妙洒脱な筆致で非常に読みやすいばかりでなく、内容は本好きなら等しく楽しめること請け合いだ。しか...
製本屋へ行こう
- 2016/08/01
- 18:13

私は勉強会で配布された資料は勿論、ネットサーフィンで拾ったようなものでも、再読の価値ありと判断すれば、手を加えて製本するようにしている。HPやブログなどは何時閉鎖されるか分からないから、内容のあるものはなるべく纏めてwordファイルに保存するように努めている。自分で作成した資料は言わずもがなだ。ソフトカバーの無線とじ製本は一冊から受けてくれるところが少ないが、堺のNISSEIさんは1冊300~500円で受けてくれる...