陰陽石
- 2017/01/30
- 18:33

11月の第一日曜日、木藤会長と四天王寺の易学供養塔に参拝した後、その足で九州へ向かった。二日目の夕刻、鹿児島の志布志から熊本へ向かって猛スピードで車を走らせていると、「陰陽石」なる案内板が目に入る。陰陽といえば、易経繋辞伝に「一陰一陽これを道と謂う」とあり、漢方でも傷寒論など其の病を三陰三陽に分けているし、素問では八十一篇中四篇が篇名に「陰陽」を含んでいる訳で、陰陽の重要なることは、易学徒にとっても...
加上説から見た古代支那思想
- 2017/01/28
- 00:38

経書の中でも、易経には伏羲やら文王といったカリスマ的な要素が取り分け多く絡み付いているが、このようなハッタリを効かせなければならなかったという辺りにも、その出現の遅いことが窺われる。内藤湖南は、富永仲基の加上説を中国思想史に適用して大変面白い考察を加えているので、ご紹介したい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~この説によれば、中国で最初に学問を興したのは孔子であり、孔子時代の人...
易は東洋諸学の宗か③
- 2017/01/25
- 19:41
見てきたように、易学は本来東洋諸学の宗などでは断じてない。しかし、問題は、漢代以降、多くの先人がそのように思い込まされて来たことである。易学が経学上第一の古典となった以上、思想界はあらゆる学問は易理と絡めて説かなければ相手にもされないという暗黙の思潮に支配される。そうして、易理と絡めた注釈や学説が膨大に堆積して行くことになる訳だが、同様に時代を経て再注釈を附されるに際しても、最早易理を無視して作業...
易は東洋諸学の宗か②
- 2017/01/24
- 18:46
漢易研究の大家であった鈴木由次郎氏(1901~1976)は、一番後れて経書の仲間入りを果たした易経がにわかに地位を上昇させて、経書の第一に数えられるようになったのは、漢代における斉学の台頭、神秘的思想の流行という客観的情勢の下に、孟喜・京房らの象数易占候易が起こって時好に投じ、次第に勢力を占めたことに起因するとしておられる。漢代は、陰陽五行思想が最も流行的思潮となった時代であり、殊に前漢の董仲舒以降、陰陽...
易は東洋諸学の宗か①
- 2017/01/22
- 18:14
『易経』は種々の占いのみならず、儒教諸学から漢方に至るまで、中国のあらゆる学術の根源と言われている。そんな訳で、「中国の学問は易を知らなければ、本当のところは理解出来ない」といった主張が生まれて来るのも当然の成り行きであろう。しかし、易が東洋諸学の宗であるのかどうかは甚だ怪しい。確実に先秦のものと認められる伝世文献には称引されず(昨今の出土資料は含めず)、易とその占例を載せる春秋とは経書の中でも世...
“易”とは何か
- 2017/01/20
- 18:28
先日、訪問先でのこと、「吾輩もかつて易学を勉強したことがある」と言って得意満面に主が持ち出して来られたのは、姓名判断の本であった。こんな例は、もうすでに嫌になるほど経験していて、世間一般の人々は、手相から四柱推命から占い全部を十把一絡げに“易”と称しているらしい。「それは易ではない」などと彼是力説しても、「はーそうなんですか」と手応えのない答えが返ってくることも既に嫌というほど経験しているので、そん...
『医史跡を訪ねて』鈴木五郎/米田該典著
- 2017/01/19
- 23:05

『医史跡を訪ねて』鈴木五郎/米田該典著(小太郎漢方製薬株式会社/2016年刊)お世話になっている浩気堂々主・坂本浩司先生より「コタロー漢方記念誌が手に入ったから送るで。」とメールを頂く。てっきりペランペランの雑誌でも送られて来るのかと思っていたら、届いたのは200頁もあるハードカバーの立派な本で、なんと中身はハカマイルなのであった。本書は、小太郎の機関誌に連載された掃苔記事を纏めて本にしたもので、もとは小...
『近世の医療史』今井秀著
- 2017/01/16
- 20:49

『近世の医療史』今井秀著(宮帯出版社/2015年刊)新進気鋭の医史学者・今井秀先生より御高著『近世の医療史』を恵与された。先生とは、長らく手紙とメールでのやり取りが続き、直接お目にかかったのはつい先日のことであるが、その学徳もさることながら、温厚篤実そのままのお人柄で、庵主は心の底より先生に感服している。ご本業は整形外科医であるが、和田東郭に興味を持たれたことから掃苔を開始、五年間に及ぶその記録を本に...
腸間膜と大友論文
- 2017/01/07
- 14:31
一昨日、さきたまオケラの会でお世話になっている浩気堂薬局・坂本浩司先生よりご連絡があり、同会メンバーの鹿毛先生より教えられたという「人体から新たな「臓器」が見つかる」について転送頂いた。この「新たな臓器」というのは、腸間膜のことで、これは腹腔の背中側の壁にくっついていない部分の臓器を後腹壁につなぎ止めている膜なのだが、長らく消化器系の臓器とは分離された構造だと考えられており、我々の腸を正しい位置に...
2017年を読む
- 2017/01/04
- 09:18

2017年の国内外の大勢について易筮で予測を試みる。①世界の大勢相も変わらず不穏な得卦だ。本卦睽は、二女同居して不和反目し、波瀾変動の激しい平穏ならぬ卦で、地水師は一昨年の大勢占でも之卦に得ている。火沢睽が乾を以て坎を包む包卦である点も注意すべきであるが、爻卦には変爻が三つもある上、離火を二つ、特に上離の主爻に配している点が目を引く。三年連続で、本卦の上卦に離火を得ているが、本年も非常に激しい一年の到...
謹賀新年
- 2017/01/01
- 13:18

蒼流庵随想をご覧の皆様、新年明けましておめでとう御座います。今年のお正月は頗る天気が良いようで、神社の初詣も文字通り長蛇の列が出来ておりました。清々しく景気の良い一年の始まりと言えましょう。過ぎ去りし一年を振り返れば、中々に充実した一年で、マイカーを飛ばして、沖縄と北海道を除く全ての県に足を延ばし、長らく気になっていた場所の盡くを制覇したことが思い出されます。広末涼子ちゃんは残念ながら現れませんで...