副卦
- 2017/06/23
- 18:07
得卦の判断で迷った際、加藤大岳先生は「副卦」を布くことを勧めている。「副卦」について、田中洗顕先生は、占的を少しく転位させ、筮法を異にしてもう一卦を取り、再占に陥ることを避けた巧妙な手段で、一方向の照準ではよく定まらないが、二方向であれば、測地の三角計算の様に、明確に判定出来る性質を利用したもの、と表現されている。分占と異なるのは、分占は最初に起こした卦以外に、二つ以上の卦を起こすこともあるのに対...
占の角度ということ
- 2017/06/22
- 21:37
占いにおいて吉凶を断ずることは意外に難しい。それは、どんなことでも物事は大抵多面的で、一部分だけを見ていては全体を正しく認識出来ないというのに似ている。ピラミッドだって、五面の内、どこか一面だけを目にしたのでは、正確な全体像など把握出来っこない。占い、特に卜占の難しさの一つはこういう点にもあるように思う。こんな話がある。二人の易占家が或る国家の盛衰を占って、占断が分れた。一人は此の国は今後さらに盛...
併占雑感
- 2017/06/21
- 19:18
上古の記録(ということに一応なっている)における併占に関する記述を読んで感じることは、何故、其々の占が一致を見ないものがあるのかということだ。占者は当然卜筮を掌る官の最上位に居る者で、群雄割拠の時代のこととは言え、小国の中では第一人者と呼んで差し支えない実力者だった筈だ。そんな実力者が卜筮しても占が一致しないとしたら、実に頼りない話に思える。「三人占えば、則ち二人の言に従う」という状況が実際どの程...
併占
- 2017/06/20
- 20:54
『左伝』襄公十三年の「五年計画占」は、再占と言って差し支えないものと思うが、『左伝』や『書経』が載せる他の占話には、再占と言うよりは“併占”とでも表現する方が適切と思われるものが幾つか見られる。『書経』洪範の「三人占へば、則ち二人の言に従ふ。」や、同じく金縢の「乃ち三亀を卜す。すべて吉をかさぬ。」などは、慎重を期したいという現代の我々も等しく併せ持つ素朴な感情の表れに他ならず、『国語』晋語巻四の「重...
再卜
- 2017/06/19
- 18:34
古代にあって、卜筮は国事を占う極めて厳粛な儀式めいたものであったらしい。そして、『左伝』は僖公四年の条に「筮は短く亀は長し。長きに従ふに如かず。」と見える如く、かつて亀卜は筮占より重く扱われる占技であったことが判るが、この亀卜においても再占(再筮に対して再卜とでも言うべきか)と思しき記述が見えていて、むしろ『左伝』では再筮よりも再卜の方が目立っているようだ。襄公十三の条には「先王、征を卜すること五...
問考分離
- 2017/06/16
- 23:06
所謂“左国占話”は、その全てをありのままの実事の占の記録とは認めかねるとは言え、それはやはり最古の占例であり、秦漢以前の占法を反映したものと見て差し支えないと思う。しかし、残念ながら収載された筮話は僅か二十例に満たず、朱子の七考占のように、そこから当時の占法の法則を抽出しようとするには、サンプルが少なすぎるようだ。従って、私は具体的な占例の検討にはさして興味が無いのだが、『左伝』や『国語』を拾い読み...
白石の易
- 2017/06/10
- 21:43

蒼流庵主人の如き凡庸な占者が、自らの筮に今一つ自身が持てず、事ある毎に、青木良仁先生の手を煩わせていることは、先に白状した通りであるが、私淑した広瀬宏道先生(1925~2015)も、自身に関する重要な事柄に関しては、いつも小林喜久治先生(1927~1995)に一筮を依頼していたという話を伺った時、聊か安堵の感を抱くと同時に、得卦に関する先生のお考えが、私と大同小異であるように思われて、我が意を得たりという気がした...
再筮について
- 2017/06/07
- 23:24
街占などやっていると、占断結果の気に入らない客から強引に再筮を迫られるというようなこともあるらしい。もっとも大抵の人間は占いの結果によって行動を変えようなどとは端から思っておらず、結論は自分で疾うに出している上で、「同意を得たい」「背中を押して欲しい」というのが根底にあっての求占であるらしいから、別段不思議なことでもなかろう。最近はそういった押しの強い客は少なくなったようだが、酒でも呷ってから来る...
占例学習の是非
- 2017/06/05
- 18:11
単語→文法→構文という英語学習における手順の王道は、実際には非効率であるという話も聞くが、今でも多くの人はこの順番で学習を進めているのではないかと思う。これを易占の学習に置き換えれば、易のイロハ→経文→占例学習といった順序が王道路線ということになろうかと思うが、この占例学習に関しては一寸注意した方が良いと私は思っている。同じ手順で表出される卦爻でも、白蛾流の象占で読むのか、高島流の辞占で読むのか、大き...
等身大の占
- 2017/06/03
- 23:48
過去の書物に現れた占例に疑いを抱くのは、私が別段ひねくれ者であるという為ばかりではないと思いたいのだが、そのありのままを伝え、私たちが正確な検証を行い得るという点で、『易学研究』や『実占研究』といった月刊誌は多くの貴重な“等身大の”占例を提供してくれて有難い。月刊誌という性格上、それらの紙面には、まだ結果の判明していない占が多数掲載されている。これでは、後で無かったことにしたり、手を加えて脚色するこ...