再び不応卦について
- 2017/07/30
- 11:54
しばらく得卦論の範疇に入るテーマを扱ってみて気づいたことは、明確に不応卦の存在を否定したのは、紀藤元之介先生くらいではないのかということである。勿論、得卦論々争華やかなりし頃の『易学研究』『実占研究』を覗き見ると、少なからぬ易占家が不応卦に否定的な立場から論陣を張っているのを目にするのは事実だ。しかし、読んでみると、それらは、あくまでも紀藤先生に同調する形で立場を表明したに過ぎないように私には感じ...
『日本人のこころの言葉 栄西』中尾良信・瀧瀬尚純共著
- 2017/07/27
- 21:11

『日本人のこころの言葉 栄西』中尾良信・瀧瀬尚純共著(創元社/2017年刊)三月に執り行われた真勢中州先生没後二百年追善法要の際、導師を務めて頂いた松雲峰寒山寺の住職・瀧瀬尚純師より、中尾良信先生との御共著『日本人のこころの言葉 栄西』を恵与された。日本人のこころの言葉シリーズは、大阪の創元社(大塚先生の『漢方医学』などもここから出ている)が、2009年から刊行を続けているもので、最新刊の『栄西』を含めて21...
蓍情について
- 2017/07/23
- 16:47
得卦を推考の俎上に載せる際、注意を払うべきものに、真勢易で云うところの“蓍情”がある。例えば、胎児の性別を占的に筮したにも関わらず、得卦は流産を告げたとか、或いは、占ではこちら側を主体に見るのが普通で相手側の事情は外卦の小成卦や綜卦で見るのが普通なのに、本卦そのものに相手側の事情や状況が示されるという様に、占的に卦爻が即応せず、違った事柄が示されることを、真勢流では“蓍情”と呼んだ。田中洗顕先生は『現...
麻野流併占
- 2017/07/19
- 18:47
五年ほど前であったか、麻野勝稔先生のお宅に上がった時のこと、「岳易の副卦では、必ず筮法を別のものに変更すると同時に占的の角度をも変えねばならぬとされているが、自分は筮法を変えればそもそも再筮にはならないと考えているので、占的も全く同一で構わぬと思う。従って重要な占題では必ず、三変筮・六変筮・四遍筮という三筮法で立卦するのを常としている」というようなお話を伺ったことがある。これは言うまでもなく、再占...
蘇る亀卜
- 2017/07/16
- 21:39

亀卜は、中原においては早くに亡んで其の実態を解明する手がかりに乏しく、殷墟出土の甲骨より施された人為の形跡を窺うくらいのことしか出来ないようだ。唐代に亡んだと言われているものの、『宋史』芸文志には、史蘇五兆亀経一巻や古亀経二巻など数冊の亀卜法の書物を載せているが、これらは恐らく後世偽作されたもので、殷代に行われていた卜法の実際を伝えたものであるのかどうかは甚だ疑わしく、それとて今日では佚書となって...
亀卜の歴史
- 2017/07/13
- 20:25

亀卜と言えば、殷代に行われ、衰退して後は筮占に取って代わられた甲骨を用いる占いを思い浮かべるが、占いに甲骨を用いたと思われる形跡は既に新石器時代の出土物にも認められるらしい。祭の際に、火を用い犠牲を焼灼して神に捧げるといった行為は、原始的な社会に広く観取されるから、火によって偶然生じた罅裂に神意めいたものを見て取ったのが、甲骨占いの起源なのであろう。また、今日の我々は其の卜法を“亀卜”と呼んで怪しま...
亀卜と易筮
- 2017/07/12
- 22:23
私は亀卜に関して全くの門外漢であるが、易筮の成立を考える上において、亀卜には大いに興味を引かれるところがある。勿論、亀卜と易筮とはもともと起源を異にする全く別個の占法ではあるが、後出の者が先行者の持つ様々な要素を取り入れて武装を図ったり、脱皮を試みることは、占術に限らず、あらゆる分野に遍く観察される現象であって、既に卜と筮との関係においても、いくつかの点が指摘されていることをご存じの方も多かろう。...
『《左伝》、《国語》方術研究』劉瑛著
- 2017/07/07
- 18:00

『《左伝》、《国語》方術研究』劉瑛著(人民文学出版社/2006年刊)周易最古の占例が『左伝』『国語』に現れているのは周知であるが、易学徒が該当箇所のみ抜き出した『左国易一家言』や『春秋左伝占話考』などしか読まないのは如何にも勿体無い。読んでみると、占星や占夢、亀卜、人相といった易以外の占いについて書かれた箇所が随分あって、上古の占法について興味深い情報を色々提供してくれている。私の関心はあくまでも易で...
分占について
- 2017/07/04
- 19:55
易占には、占的に関する様々な事柄を一筮によって断ずる一卦多占と、可否や成り行き、方針といった種々の角度毎に立卦したり、複数の選択肢がある場合に夫々に筮を立てて判断する分占との、大きく分けて二通りの行き方がある。一卦多占の最たるものは、真勢における美人の妹圧死占辺りであろうが、一卦をもって斯くの如き推断を下すのは容易なことではなく、意図して一卦多占を試みると、とんでもない誤断を重ねる羽目に陥るのが、...
感謝の50000ヒット!
- 2017/07/01
- 09:32
一昨日、アクセスカウンターが50000の大台に乗った。100000アクセスまでの丁度中間地点でもあり、感慨深いものがある。アクセス数も毎年微増(ホントに微増)を続けてくれていて有難い。漢方家で医史学に関心を持つのはほんの一握りであるし、易も年々占術家におけるその比率を低下させているらしいから、もとより多くの読者を持ち得る内容ではないが、少数精鋭を志向した御蔭か、一頃より少なくなったとは言え、相変わらず、大学...