キリ番プレゼント~66666~
- 2018/06/29
- 20:18

今回のキリ番66666は、大阪の漢方家H先生がゲットされました。H先生は前回のキリ番55555も狙っておられたそうですが、僅差でゲットし損ねたとのこと。振り返れば、これまでのキリ番当選者は鍼灸師の方が最初の11111をゲットした以外は、みな易学関係者で、漢方関係の方は初めてでした。色々思案した結果、手元にある湯液関係の中文のデジタル資料をDVDにしてお贈りすることに。実は、H先生とは旧知の間柄で、以...
冬虫夏草を求めて④~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/28
- 18:58

セミタケの地上部(2014年7月17日/高槻市某所)坂根先生が四回目に連れて行って下さった冬虫夏草ツアー、最初は神社の境内で、ニイニイゼミの幼虫から発生するセミタケ。これはオオセミタケやツブノセミタケと違って、発生数は少ないらしい。地上部はそれほど長くないが、なかなかカッコいい虫草だ。別の神社に移動して観察採取したコメツキムシタケ。クリーニング後コナサナギタケツブノセミタケ坂根先生には、2013年6月9月、2014...
冬虫夏草を求めて③~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/27
- 18:22

オオセミタケ(2014年5月6日/高槻市某所)坂根先生が発見して新種記載されたシネンシストウチュウカソウ(※マジモンの冬虫夏草のこと)の近縁2種はどちらもそれほど発生数が多くない為、薬用とするほどの量を確保出来ないらしく、実際に使うなら、大阪ではGWの頃、杉林の林床下で、ヒグラシの幼虫から発生するオオセミタケが適当であるという。これを薬酒にしたものを用いると、或る種の癌に著効を示す場合があるということだ(効...
冬虫夏草を求めて②~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/26
- 18:19

2013年9月6日/高槻市某所次に坂根先生が虫草採集に連れて行って下さったのは、同年の9月初めで、この時期には、ツクツクボウシの幼虫から発生する虫草を、かなり大量に見つけることが出来る。これがツクツクボウシタケの地上部で、地生型である。朽木生型でないものはピンセット不要で、本種の宿主はそれほど深い位置にもない為、スコップで一気にザクッと行く。少し目が慣れると、そこら中に目に付くので、その気になれば100個体...
冬虫夏草を求めて①~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/25
- 18:20

5年前のこと、高槻在住の冬虫夏草研究家・坂根先生の御好意で冬虫夏草採集に同行させてもらった。本来、冬虫夏草は、チベットやヒマラヤに生息するコウモリガ科の蛾の幼虫に寄生するものを指し、それ以外の昆虫に寄生したものは、単に“虫草”といって区別しているが、あまりにも冬虫夏草の名が有名であるため、我が国では一般にこの名でひとくくりにされている。 坂根先生は武田薬品のご出身で、微生物培養に長年従事されていたが、...
サルナシを求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/22
- 18:29

サルナシの花(2017年6月22日/奈良県川上村)サルナシは、マタタビ科マタタビ属のツル植物で、日本だけでなく朝鮮や中国にも分布しているが、本草書には記載がなく、薬用植物としては認識されていないようだ。アマチュア古生物学仲間であるSURVIVOR氏が、果実酒にすると最高に美味いというので、探してみたが、大阪ではやや稀の植物で、容易に見つけられる木天蓼(マタタビ)のようには行かないらしい。2017年9月15日(六甲山)沢...
楊梅を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/21
- 18:02

ヤマモモの実(2018年6月19日/大阪府和泉市)楊梅はヤマモモの漢名で、樹皮や根も薬用となるが、我々に身近なのは何といっても実で、生食も可なるも、ジャムや缶詰など様々に加工されて販売されている。『本草綱目』は東方朔の林邑記を引き、「邑に楊梅があり、その大いさは盃、盌ほどで、青い時は極めて酸く、熟すれば蜜のやうになる。これで醸した酒を梅香酎と呼び、甚だ珍重していゐる」という。梅香酎というのは、どうやって造...
商陸を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/20
- 18:35

マルミノヤマゴボウの花(2014年6月20日/大阪府奥河内)商陸は、ヤマゴボウ科ヤマゴボウの根で、『神農本草経』では下品に収載され、仲景方では『傷寒論』の労復病篇に牡蠣沢瀉散という使用処方が見えている。また、易卦「沢天夬」九五の辞“莧陸夬夬”の“莧陸”はヤマゴボウのことであるという。コトバンクは平凡社の『百科事典マイペディア』の解説を引き、「ヤマゴボウ科の多年草。日本全土,東アジアの温帯に分布」としているが、...
大深当帰を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/18
- 18:40

当帰と言えば“婦人の要薬”として、種々の婦人科疾患に多用される生薬で、仲景方では、烏梅丸・当帰四逆湯・当帰四逆加呉茱萸生姜湯・麻黄升麻湯・赤小豆当帰散・升麻別甲湯・候氏黒散・古今録験続命湯・薯蕷丸・奔豚湯・当帰生姜羊肉湯・当帰芍薬散・当帰貝母苦参丸・当帰散・当帰建中湯・温経湯・膠艾湯の十七処方に用いられている。女性の不妊症に馬鹿の一つ覚えの如く用いられている当帰芍薬散など、一体、年間どれだけの量が使...
合歓を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/17
- 09:02

ネムノキの花(2013年6月17日/近所の幹線道路脇)大阪では梅雨の頃に独特な花を咲かせるネムノキは、マメ科の落葉高木で、何となく外来種風の見た目であるが、れっきとした在来種だ。和名の“ネム”は、夜になると葉が閉じること(就眠運動)に由来する。樹皮を“合歓皮”として養心安神薬に用いる他、活血消腫止痛の効もあり、打撲や骨折にも用いられる。山間をドライブしていてもよく目に付くし、植栽なのかどうか判らぬが、街中で見...
海金砂を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/16
- 08:29

カニクサ(2013年6月17日/近所の石垣)シダ植物で薬として用いられるものは余り多くなく、比較的メジャーなところでは、貫衆(ヤブソテツ)と今日ご紹介する海金沙(カニクサ)くらいしか、パッと思いつくものがない。海金沙は、カニクサというツル性のシダ植物の胞子で、カニクサ自体は街中でも普通に見かける。特に、石垣の隙間がお好みらしく、高級住宅地で目にすることが多いようだ。利水通淋の薬で、主に淋病の類に用いられる...
第69回日本東洋医学会学術総会~生薬探偵の潜入~
- 2018/06/11
- 10:15

金土日と、中之島で開催されていた日本東洋医学会の第69回学術総会に参加して来た。実のところ、当初は全く予定になかったのだが、さる高名な東洋医学の大家に无妄の災が降りかかり、そのお陰で、幸運にも生薬探偵に参加の機会が巡って来たのである。さすがに東洋医学関連の最大の団体(会員数約9000名)の総会だけあって、其処此処に有名人が居る。意外にも春光苑の同門二名を発見(たぶん会うのは8年ぶりくらい?)。肝心の発表...
吉草根を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/10
- 10:00

カノコソウ(2015年6月10日/大阪府南河内)吉草根は、『日本薬局方』記載の生薬であるが、どうした訳か、中国の本草では扱われておらず、ヨーロッパに産するワレリアナ根(セイヨウカノコソウ)の代用品として用いられたもので、我が国で生薬として使われた歴史はごく浅いようだ。同じオミナエシ科のオミナエシやオトコエシが、敗醤として『神農本草経』に記載されていることから考えると、何やら不思議な感じがする。ハルオミナエ...
白薇を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/09
- 07:56

フナバラソウ(2014年6月9日/大阪府奥河内)『神農本草経』で中品に分類されている白薇は、キョウチクトウ科カモメヅル属フナバラソウの根であるが、古くからしばしば白前と混同されて来た薬物で、『本草崇原』には「蘇州の薬店では既に久しい間、白前を白薇とし、また白薇を白前としている」とある。仲景方では、『金匱要略』の産後病篇に、竹皮大丸という使用処方が見えている。清熱作用の大変強い薬物で、仲景も竹皮大丸の条で...
紫根を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/06/05
- 18:10

ムラサキ(2018年6月1日/平尾台)我が国に自生する薬用植物の中で、もっとも珍しいのは恐らくムラサキであろう。確かに、オキナグサ(白頭翁)も珍しい、ミシマサイコ(柴胡)も珍しい、しかし、ムラサキ(紫根)の珍しさは突出していると言ってよい。目録によると、かつて大阪でも金剛山に自生を見たというが、遠い昔の話に過ぎず、今では関西に野生種は残っていないのではないかと思う。後藤艮山の墓がある京都の紫野は、かつて...