桔梗を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/08/12
- 14:14

キキョウ(2013年8月10日/生石高原)秋の七草に数えられるキキョウは、花壇等で植えられているのをよく見かけるから、植物に特別の関心を持たない一般の方にも馴染みがあるだろう。野生種は急速に数を減らしており、絶滅危惧種となって久しいが、生薬探偵は余程縁があるのか、行く先々で目にするので、絶滅危惧という感をさして受けない。根は有名な鎮咳去痰薬で、『神農本草経』では下品として記載されるが、朝鮮ではキキョウのこ...
玄参を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/08/11
- 13:14

ゴマノハグサ(2013年8月10日/生石高原)ゴマノハグサ科の薬用植物と言えば、地黄の基原であるアカヤジオウやカイケイジオウが有名であるが、同科のScrophularia ningpoensis Hemsl.の根も玄参の名で『神農本草経』中品の部に記載されている。科が同じである為か、薬能も地黄に似たところがあるようだ。日本では殆ど使用されないので馴染みの薄い生薬であるが、台湾では単味製剤も売られている。使用処方としては、『活人書』の玄...
射干を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/08/10
- 18:57

ヒオウギ(2013年8月10日/生石高原)『神農本草経』に下品として収載されている射干は、アヤメ科ヒオウギの根で、仲景方では『金匱要略』の鼈甲煎丸・射干麻黄湯の二方に用いられている。中国では普通に用いられる生薬らしいが、日本では殆ど使われておらず、もっぱら鑑賞目的で栽培されているものを街中で目にすることが出来る。黒くて光沢のある種子は、射干玉(ぬばたま・ぬぼたま・むばたま)の名で知られ、和歌では「黒」や「...
山薬を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/08/07
- 18:54

ヤマノイモ(2013年8月7日/大阪府奥河内)山薬は、『神農本草経』に“薯蕷”の名で上品として収載され、仲景方では薯蕷丸・腎気丸・栝楼瞿麦丸の三方に使用されている。僅か三方とは言え、八味腎気丸は今日老人に多用されているし、その変方たる六味丸(『小児薬証直訣』)もまた頻用処方と言って良い。山薬の基原には二種類あり、日本産はヤマノイモの根茎を充て、八百屋で“自然薯”の名で売られているものがこれである。中国産は、...
威霊仙を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/08/02
- 18:26

クガイソウ(2014年7月22日/大阪府南河内)疎経活血湯に使用される威霊仙は、痛風やリウマチなどの疾患に多用される生薬であるが、基原には色々なものが充てられていて真にややこしい。難波和漢薬は、小野蘭山の説く如く、オオバコ科のクガイソウの根を古来の正條品としているが、一昨年の『おけら』第14号に出た御影先生の「威霊仙の正体と神効」によると、威霊仙の正條品は、クレマチス属(=センニンソウ属)の植物で、テッセン...
夏枯草を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/08/01
- 18:48

ウツボグサ(2017年7月31日/伊吹山)夏枯草の名で『神農本草経』に下品として収載されているシソ科ウツボグサは、世界中のかなり広い範囲に分布が見られ、洋の東西を問わず生薬として用いられてきた歴史がある。多量のカリウムを含み強い利尿作用を持つことから、淋疾に用いられることが多いが、消炎薬として使われることもあるようだ。一般には民間薬的にハーブティとして飲まれることが多いが、『外科正宗』に夏枯草湯、『医宗金...