永富独嘯庵を求めて②
- 2019/07/29
- 19:09

宇部村(現在の下関市王司)の庄屋・勝原治左衛門の三男として生を受けた独嘯庵(幼名鳳介)は、少年期に診療を受けたことが縁で、遠縁でもあったという後世方医・永富友庵の養嗣子となって医業を継いだが、友庵は現在の下関市南部町国分寺下で開業していたと木山本に記載されている。王司上町を散策した後、小田済川の墓所未参という日高女史を案内して功山寺に向かい、続いて同寺に隣接する下関市立歴史博物館で学芸員の松田和也...
永富独嘯庵を求めて①
- 2019/07/25
- 20:44

木山芳朋著『独嘯庵』の記述を手掛かりに、義士坂にあるという独嘯庵の生家・勝原家の墓所を探索して二度惨敗を喫したのは2016年のことであったが、帰阪後、SNS上で独嘯庵について発信している日高栄美子女史のことを知り、早速コンタクトを試みたところ、これが契機となって、女史の全面的な協力を得ることになった。日高女史は、地元の郷土史研究グループの一員で、たまたま木山氏の実家で墓所の墓守をしていた新田家と関わりが...
胃気を回復させる玄米湯
- 2019/07/22
- 20:14

粟島先生が、病人すべてに服用させて良いとして教えてくださったものに玄米の取り湯がある。胃の気を回復させるもので、手術の後などには特に良いが、風邪で少し食欲がないといった程度でも回復を早める効果があるという。玄米を煎じて、その汁を飲むという至って簡単なもので、要は玄米一味を煎じる玄米湯とでもいうべきもの。当然、口に入れるのは汁だけで、残りカスの米は食わない。食品としての米は新しいものでないと食えたも...
初心忘るべからず
- 2019/07/19
- 18:57

自分の力量に自信を持っているという人でなければ、どんな分野でも一流の境地に達する事は出来ぬであろうが、その自信というのは大抵過剰なものになりがちで、自分は日本一の漢方家であると自負する人が日本には何十人も居るそうだ。日本東洋医学会が1万人弱の会員数を誇るというから、或いは数十人規模ではなく、ゼロを一つ付け足した位が実数であるやも知れぬが、少なくとも私が実際に面識を持っているだけで、4,5人の“日本一の...
板藍根
- 2019/07/16
- 18:36

銀翹散同様、中国では家庭薬のような存在になっているという板藍根も咽痛に用いられるが、これはもっと普段使いが可能で、特に咽痛がなくとも、なんとなく熱っぽいといった程度から、流感の季節には平素お茶代わりに服用して予防に努めるという人も多いらしい。私が初めて飲んだのは、たしかクラシエの顆粒ではなかったかと記憶するが、随分前のことで記憶に定かでない。ただ、焼き魚みたいな変わった風味だなという印象が強かった...
銀翹散
- 2019/07/13
- 08:36

咽痛の薬方と言えば、『傷寒論』の少陰病篇に、甘草湯と桔梗湯という二処方があって、甘草湯が初期で軽証、桔梗湯はそれよりやや邪が内攻した証ということになっている。最初の頃はそう信じて喉風邪をひく度に服用してみたのだが、どうした訳か巷で言われているようには「効いた」という手応えを感じられずに居た。これは煎じ薬に変えてみても同様であったが、勝昌製の散剤を使うようになって、試しに銀翹散のボトルを取り寄せて飲...
咽痛に効く花梨酒
- 2019/07/10
- 18:32

粟島行春先生が他界された年の秋、門下一同に会する盛大なお別れ会が催された帰りに、半世紀近くに渡って師事された赤穂の木村秀子先生ほか数名と喫茶店に入る機会があり、先生から昔習ったという花梨酒の作り方を教えて頂いた。なんでも、粟島先生が漢方の勉強を始める前に推奨しておられたものだそうで、氷砂糖を多めに入れた花梨酒を咽喉痛のある時にうがい薬として用いるという至極単純なものであるが、これが実際作って試みた...
生脈宝
- 2019/07/07
- 10:34

毎年夏になると松浦薬業製造の生脈宝を愛飲している。原方の生脈散は、張元素の『医学啓源』(1186年)初出の補益剤であるが、浅田宗伯の『勿誤薬室方函口訣』には「此方、世ニ千金方ヨリ出ルト称スレドモ確ナラズ」とあり、孫思邈の創方と囁かれていた処方であるらしい。人参・麦門冬・五味子の三味から構成されるシンプルな処方で、白虎加人参湯や清暑益気湯などと同じく、熱中症に用いるような使い方がなされているが、予防的に...
松浦さんの月刊インフォメーションにて金植観察会を取り上げて頂きました
- 2019/07/04
- 18:52

先月開催した金匱植物同好会の第二回観察会の模様を、名古屋から参加された加藤久幸先生が、(株)松浦薬業の月刊インフォメーションにて紹介して下さいました。3年前の秋に個人的に加藤先生を大阪の生薬探訪にご案内した時も取り上げてくださったのですが、今回は1ページ丸々金植に割いて頂いており、有り難いことです。3000部刷られているそうですが、仮に読者の30分の1が次回秋の観察会(予定)に参加されたとしたら、参加者100...
『根付の図鑑~動物~』吉田ゆか里著
- 2019/07/01
- 18:28

『根付の図鑑~動物~』吉田ゆか里著(光村推古書院/2019年刊)日本で唯一の根付・提物の専門店提物屋SAGEMONOYA社長にして、根付研究の世界的権威として知られる吉田ゆか里女史より、最新の御高著『根付の図鑑』を恵与された。十二支をはじめとする200点近い動物根付の名作佳品の数々がフルカラーで紹介されている。女史とは四半世紀のお付き合いになるが、青木良仁先生の御鑑定によれば、ソウルメイトというものであるらしい。な...