『麒麟がくる』が来た!
- 2020/11/29
- 21:16

白状すると、生まれてこのかたNHKの大河ドラマというのを一度たりとも視聴した事がない。取り立てて理由らしい理由はないのだが、何とはなしに今日まで来てしまった。韓流なら『ホジュン』に始まり、『商道』『チャングムの誓い』『イ・サン』『トンイ』挙句の果てには全158話という気の遠くなるような『武人時代』に至るまで、あれだけ長ったらしい歴史モノを苦も無く視聴して来たのにと自分でも意外な感じがする。ところが、遂に...
『高島易断』を読む⑦
- 2020/11/26
- 18:46
江戸時代は周易による易占が盛んに行われていたように漠然と思われているフシがあるけれど、実際の内容はと言えば、白蛾にしろ真勢にしろ徹底した象占である事に加えて断易や梅花心易など周易から派生しつつも独自の発達を遂げた占法に由来する技法が混淆して用いられていて、少なくとも今日の易占家の殆どが常法としているが如き爻辞占は殆ど見つけられないようだ。もっとも、内容を把握できる我が国最古の易占例である後醍醐天皇...
『高島易断』を読む⑥
- 2020/11/23
- 14:10
易占の初心者がよく惑わされて誤占を来す原因となるものに「吉」「凶」「无咎」といった易辞中の文句がある。占事と卦爻辞をうまく対照出来る場合は良いけれど、うまく読めない場合はこういう単純な文句に引っ張られがちになるもので、先日コメントでも少し遣り取りしたが、たとえば坤為地六五の「黄裳、元吉」のように「黄裳であれば元吉」つまり「黄裳でなければ凶を来す」という解を採るべきものなどが易には少なくない。また、...
『高島易断』を読む⑤
- 2020/11/20
- 19:16
『高島易断』中の珍しい占題としては、山雷頤六五の解説に附された占例181(義.p872~p886)「仏易説」なども面白い。もっとも、占題それ自体は10年前に火災で焼失した芝増上寺の仏殿の再建に際して不足する費用を如何に捻出するかという金策占で、その手の占的は今でも事業占ならさして珍しくもない訳だが、得卦である山雷頤の爻位を追って我が国の仏教が時代を降る毎に如何に腐敗して来たかを滔々と説きながら仏教批判を行い、得...
『高島易断』を読む④
- 2020/11/17
- 17:50
高島嘉右衛門と言えば、誰もが知る周易三変筮の神憑った占法家であるが、山地剝六四の項に附された占例149「富商某来リテ運気ヲ占ハンコトヲ請フ」(義.p733~p735)では、なんと易占に人相術を併用しており、呑象が相学にも通暁していた事が判って面白い。運気占における山地剝六四など誰の目にも凶兆たること明らかであるのは言うまでもないが、そこからの呑象の解説、此ノ如ク災ノ接近シタルヲ占フトキハ、必ズ其人ノ人相ヲ参照...
『高島易断』を読む③
- 2020/11/14
- 22:01
『高島易断』には、某氏の運気を筮すといった個人の運気占が多く収載されているのが先ず目に付く特徴の一つであるが、よく読んでみると他にも中々変わった占題が取り上げられているのを発見出来て面白い。例えば、占例131(義.p624~p627)等もその一つ(以下庵主による超訳)。時は明治18年の暮れ、陸軍軍人で政治家の得庵鳥尾小弥太(1848~1905)が来訪、終日易談義に興じた末、「今日我国ニ於テ真ニ易理ニ通ゼル者有リヤ無シヤ...
『高島易断』を読む②
- 2020/11/10
- 18:03
我々凡庸なる占者が得卦の判断に苦しむ事は是日常茶飯であるものの、非凡なる易聖呑象高島嘉右衛門にしてもそうした事が幾らかはあったらしいという事が『高島易断』において告白されている。増補『高島易断』乾之巻の坤為地六五の項に附された占例12(乾.p59~p60/占例番号は便宜上庵主が独自に附したもの)「明治二十二年、貴顕某ノ運気ヲ筮シテ坤ノ五爻ヲ得タリ」は、神童の誉れ高く欧州留学の経験もある某氏の運気に坤為地六五...
『高島易断』を読む①
- 2020/11/07
- 16:08

“高島易断”と聞けば、一般人はほぼ例外なくニセ高島を思い浮かべるのではないかと思うが、易を多少なりとも齧っている人であれば呑象高島嘉右衛門の著書たる『高島易断』を知らぬ者は一人として居るまい。とはいえ、意外に未読という方も少なくないのではないかという気がする。価格も価格だが、あの頁数と古めかしい文体は軟弱なる現代人を恐れ慄かせるに十分な迫力を持っているようだ。蒼流庵に架蔵されているのは八幡書店が復刊...
坤為地 VS 火山旅
- 2020/11/05
- 23:55

日本の国政選挙などより余程注意を引かれるのが遠く地球の反対側と言っていいアメリカの大統領選挙だが、今回もまた多くの日本人が開票結果に釘付けになっているようだ。今回いつになく当事者のアメリカ国民もエキサイトしていると見えて過去最高の投票率ということであるが、信者アンチ含めて如何にトランプという人物に注目している人が多いかという事の反映であるに違いない。10月31日に両候補の運勢を筮して、バイデンに火山旅...
『易占例集』宇澤周峰監修
- 2020/11/01
- 17:17

『易占例集』宇澤周峰監修(虹有社/2004年刊)三変爻辞占のバイブルと言えば、言わずと知れた高島易断の名を誰もが挙げるに違いないが、これから易占を始めようという段階の素人同然の人相手にあんな高価な本はとても薦められないし、薦めたところで実際には誰も手にしないのではないかという気がする。少なくとも、初学者にいきなりあんな本を読ませようと試みるのは、如何にして易の学習を諦めさせようかという殆ど嫌がらせの範...