コロナワクチンを占う
- 2021/03/29
- 18:20

もう一年以上テレビをつければコロナコロナコロナの状況が続いていて殆どコロナ狂騒曲といった観を呈している有様だが、今度はここにコロナワクチンが加わって、専門家らしき人間を引っ張って来ては勝手な事を喋らせているテレビ屋の芸の無さにもいい加減ウンザリさせられる。残念ながら私の周りにも少なからぬ陰謀論者が居て、ビルゲイツ黒幕説から中国生物兵器説まで飛び交っているのだが、そもそも陰謀論の弱点はそれぞれの論者...
TEIOUGAKU
- 2021/03/26
- 20:14
先日、易に関しては全くの門外漢ではあるけれど教養人として決して恥ずかしくない知的水準を体現されている方と談論していて、たまたま話題易学に及んだ際、私の話に対して、「自分は『易』は帝王学の書物だという認識を持っていたが、そうではないのか」という意味の事を言われた。私は、『易』が帝王学の書物であるというのは必ずしも間違っている訳ではないが、正確には「帝王学の書として読む“読み方”がある」のだという風に説...
彖象伝とポジティブシンキング
- 2021/03/23
- 18:03

大体に於いて易の教えというのは戒慎恐懼を以て其の宗旨とする孰れかと言えば控えめなもので、危ぶみ懼れて凶を避ける事を教える辞が卦爻中に躍っており、積極的に障害を打破して成功を掴むといったアングロサクソン好みの人生観とは相容れないところがあるように思われる。しかし、十翼中の彖象伝は儒家者流のポジティブシンキング(?)に溢れていて、易を学び始めた初学者を惑わせる効の大なるものがあるようだ。易に於ける吉凶...
さらば彖象伝
- 2021/03/20
- 11:21
『周易』の現行テキストでは彖象伝は経文中に雑入される形式となっていて、「卦辞・彖伝・大象伝・爻辞(小象伝交互)」という体裁を取っているものの、経文とその注である彖象伝とは本来全く別のものである訳だが、かかる改変を行った下手人(?)については大きく分けて三つの説があり、孔穎達は魏の王弼だと言い、顧炎武は後漢の鄭玄だとし、皮錫瑞らは費直の手に為るとする。現行テキストは費直の古文易の系統であるから、いず...
百目鬼説から見た『周易』経文の成立時期
- 2021/03/17
- 18:34
経書の注釈ブームが起きるスパンから割り出された百目鬼の文化500年周期説を仮に正しいと認めて適用すると、馬王堆帛書の翼伝から易“経”の凡その成書年代を推定する事が出来る。いわゆる馬王堆漢墓は紀元前2世紀(前漢初期)のものであるから、単純に言えばここから500年遡った辺りに『易経』の成立を求めれば良い訳だ。すると、紀元前7世紀前後に『易経』が誕生した事になる。『春秋』三伝から割り出された孔子の生卒年から考えれ...
注釈史から見た文化の五百年周期説
- 2021/03/14
- 10:24

かつて、百目鬼恭三郎が、古典の注釈史から割り出された文化の周期性について面白い仮説を提示した事がある(『たった一人の世論』26p~29p)。中国では古来、古典の注釈が文化の中心事業のようになっているが、注釈というものは古典の意味がそのままでよく分かる時代にはそもそも不要で、意味が通じなくなって来て初めて注釈の必要性が出て来る訳だ。古典の意味が通じなくなるということは、それとセットになっている諸文化の意味...
『論語』と孔子の生涯(影山輝國著)
- 2021/03/11
- 20:56

古注だ新注だと言ったところで、実占家としての立場からのみ『易』に対峙している人(要するに大多数の易者諸氏)には何のことやらよく判らず、古い注釈が古注で新しい注釈が新注なのかしらんという程度の漠然としたイメージを脳裏に描くのがせいぜいであるかもしれない。古いの新しいのと言っても、それではどこからどこまでが古くてどこからが新しいのかという線引きをはっきりさせない事にはどうにもなるまいが、簡単に説明する...
経書の読み方
- 2021/03/08
- 19:11
公田易にせよ今井易にせよ、何やら難しくて分厚い本と格闘していると、いっぱしの易学者になったような錯覚に陥りがちである。実際にそういう人を時折見かけるが、経書には正統な読み方というのがあって、かかる諸説を折衷した書物を読んで判ったような気になるのは所詮素人の範疇であると言う他ないようだ。狩野直喜は漢文研究法の第五講で此の事について簡潔に述べており、「すじを正して」読むべき事を力説しているのだが、経学...
『易経』今井宇三郎訳注
- 2021/03/05
- 18:11

今井宇三郎氏の明治書院新釈漢文大系『易経』全三巻は非常に世評の高いもので、儒学の系譜に於ける伝統的な易解釈に基づく訳解としては我が国に於ける最高峰に位置付けて差し支えない名著と言えよう。昭和62年に上巻が上梓され、中巻の刊行が平成五年であるから、著者が堅実かつ厳密なる態度で臨んだ事が其の遅筆ぶりに伺われる。著者の没後、遺稿を元に堀池信夫(1947~2019)、間嶋潤一(1950~2012)の両門下が引き継ぐ形で、上...
易経講話抄々
- 2021/03/02
- 18:24

蒼流庵易学講座で用いているテキストは、十年ほど前に自身の復習用に作成した『易経講話抄』を更に簡潔にしたダイジェスト版で、『易経講話抄々』とでも言えば良いのか、それとも『抄易経講話抄』と名付くべきか、いずれにせよ公田連太郎翁畢生の大作『易経講話』のエッセンスを抽出したものである。『易経講話抄』は今読むと誤字脱字等も随分沢山あって正直なところ見るに堪えないので、全面改訂(恐らく30回以上稿を改めていて現...