ケロクあれこれ
- 2021/07/27
- 18:04

手元にある資料を覗き見ると、ケロク器にも色々バリエーションがあって面白い。「筮具抄」より今氏「筮具抄」に見えている図で、刻が丸くなっておらずに角ばってカットされている。朱子のほうはオカシな台に乗っかっているが、あくまでも今氏による復元図であって、実際に朱子や何楷の用いた木格がこんな風だった訳ではなかろう。『筮法詳解』より九鬼盛隆の『筮法詳解』に出ているもので、九鬼は上図を朱子の格としているのだが、...
ケロクの話
- 2021/07/24
- 10:20

我々は筮竹を立てかける器具について、ケロクケロクと呼んで怪しまないけれど、これもそれほど古くからあるものではないようであるし、名称も我が国に於ける俗称に過ぎない。実際、『儀礼』士冠礼を見てもそれらしい占具は用いられていない事が判る。今日のケロクの原型の初出は管見の限りでは朱子であるらしいが、名称は「木格」となっていて、馬場信武『易学啓蒙図説』の図が判り易い。『易学啓蒙図説』より我らが麒麟ケロクの原...
易の音楽
- 2021/07/21
- 18:01
アメリカの前衛音楽家ジョン・ケージ(1912~1992)が1951年に友人のピアニスト、デイヴィッド・チューダー(1926~1996)のために作曲した「易の音楽(Music of Changes)」という作品があって、youtubeでも聴く事が出来る。ウィキペディアの解説「作曲の過程では、中国の古典的な書物であり、占いとしてよく使われる「易経」を応用した。音の大きさ、長さ、強さ、テンポ、密度などのチャートに易経を適用したのである」というのも...
キリンケロク VS ムサビケロク
- 2021/07/18
- 21:11
ケロクも最近は良いものが買えないらしく、あくまでも写真だけから受ける印象であるけれど、紫檀や黒檀などの唐木製でも材質が良くないのかやけに白っぽい気がする。そんなこんなでケロク関連の情報をネットサーフィンで渉猟していたら、麒麟ケロクによく似たケロクをyoutubeで発見。2012年8月に開催された『サントリー芸術財団サマーフェスティバル25周年記念 ジョン・ケージ:ミュージサーカス』なるイベントに関係した動画らし...
ケロクを磨け
- 2021/07/16
- 18:11

縮杢が美しすぎる亜麻仁油フィニッシュ直後の麒麟仕様カリンケロク梅雨入り前、ケロク研磨に熱中し過ぎて両膝を痛めてしまい、一時は再起が危ぶまれるほどの激痛に日夜悩まされたけれど、それと引き換えにケロク研磨の極意を会得する事が出来た。まず、制作直後のものは300番手ほどの粗目のペーパーから始めて行くのが良く、600番手くらいでは細かい凸凹が取りきれずに結局仕上がりが気に入らなくなって後日磨き直す破目になるから...
カリンケロクを制作
- 2021/07/13
- 18:07

キリンケロクに続いてカリンケロクを作成する事に。なんでも一昔前の富裕層の邸宅のフローリングはカリンと相場が決まっていたそうで、そのカリン材も枯渇して20年ほど前に市場から姿を消してしまったのだという。明るい色調の木材な為、紫檀や黒檀に比べると高級感の点では見劣りするが、実際の価格はカリンのほうが高価だったらしい。端材の中に貴重な縮杢(ちぢみもく)のものがあった為、それで製作してもらったところ、この杢...
麒麟ケロクを復刻
- 2021/07/10
- 09:26

蓍策、算木、櫝と来れば、もう残るはケロクだけだ。ここまで既製品に頼らず揃えた以上、最後も拘りの逸品で完結させたい。そこで、かの松永弾正愛用と伝わる其の名も「麒麟ケロク」を制作することに。いくつかの木工屋に見積もりを依頼してみたが、どこもビックリする程高い値を吹っかけて来る(一件目の地元の工房は五万、東大阪の二件目は四万)。三件目にしてようやくマトモな製作費が提示されたので、こちらにお願いしたのだが...
筮筒の話
- 2021/07/07
- 18:01

筮筒は古く“韇”と呼ばれて、繋辞伝大衍之数章にこそ登場しないが、『儀礼』の士冠礼などに見えている。今東光の「筮具抄」によると素材は黄楊または桜木を用いて作り、竹筒を用いる事を嫌うというが、松井羅州の『筮儀約式通解』には「竹筒。或ハ堅木。或ハ布漆。随意ニスベシ」とあって素材は適当で良いとしている。また、古い筮筒は台座部分が亀の彫刻になっている豪華なものがあり、今氏「筮具抄」にも写真二種が掲載され、以前...
蒼流庵筮筒を制作
- 2021/07/04
- 09:05

お道具類に凝っていたのは六年ほど前の事だが、以降の数年で筮具職人が高齢化により一斉リタイアしたのか、新品のまともな筮具が入手出来ないようになっているのを知り、驚かされた。蓍策、算木と来ればお次は筮筒(正式には櫝ないし韇)だろうが、バズーカみたいな恰好の御世辞にも品があるとは言えないものしか買えなくなっているらしい。そこでさる信州のろくろ細工の名工に依頼して制作してもらう事に。上越の某茶人に紹介して...
ランチョンマット
- 2021/07/01
- 18:01

蒼流庵算木に限らないが、元来算木というのは本之卦を対照する為に2組ワンセットで用いられたものだから、横に並べて使うのが本当である。そもそも、動爻が複数あれば之卦側の算木が必要になるのは当然だろう。ところが、現在売られている算木敷というのは三変筮しか想定していないらしく、サイズが小さくて算木一組がようやく載せられる程度でしかない。なので、私は六年ほど前に購入した紅色のランチョンマットを愛用していて、...