易学供養塔
- 2021/10/29
- 18:08

先日、蒼流庵易学講座久しぶりの課外学習として、生徒さんと二人で四天王寺の易学供養塔を参拝した。課外学習は6月のメドハギ採集以来のこと。護持会への初参加が11年前なので、私と供養塔との関わりも随分長くなったが、このところ春秋に催される四天王寺青空古書市から足が遠のいて久しい為、以前ほどの頻度では参拝しなくなってしまい、確か年始以来の参拝になるかと思う。四天王寺は言わずと知れた聖徳太子創建の古刹中の古刹...
大衍筮法あれこれ
- 2021/10/26
- 18:13

川原秀城氏の『数と易の中国思想史』第五章「秦九韶の易筮法」の注記部分(96~97)に、四象の表出率に偏りが出ないよう改良された三種の改定大衍筮法が紹介されている。『易学象数論』によれば、荘綽は『揲蓍新譜』をあらわし、唐の張轅の法を引用した。その筮法は、49蓍を二分し、一を掛け、左手の策だけを四揲する。その余りが一・二のとき少、三・四のとき多とする。これが第一変であり、第二第三変も同様にして多少を決める。...
『熹平石経《易》残石』劉燦章編
- 2021/10/23
- 09:40

熹平石経の刻石は現在世界中に散蔵されていて、かつ偽物も相当混じっているらしいから、我々が手軽に利用するのは意外に困難な資料だったりする。碑文の画像をまとめて参照出来るようなサイトが中国あたりには無いものかと調べてみたけれど、管見の限りではそれらしいものを見つける事が出来なかった。仕方がないので、現代中国の出版物で何か画集的に楽しめる安価なものがないかと探してみたら、『熹平石経《易》残石』(河南美術...
熹平石経
- 2021/10/20
- 18:11
国家によって儒教経典の定本を規定しようとする事業は何も唐代の『五経正義』に始まった訳ではない。最初の試みは、後漢末に洛陽の太学門前に建てられた所謂「熹平石経」である。学派毎に用いているテキストがバラバラというのでは御上の側からして不都合であるのは何時の時代も同じである。そこで熹平四年(175)、蔡邕等が当時行われていた儒教典籍間の文字の異同を正して定本を作ることの必要性を霊帝に奏上、大規模な校勘事業...
正義の暴走
- 2021/10/17
- 08:26
昨今“正義の暴走”という言葉をしばしば耳にする。コロナ禍の初期に頻発した所謂自粛警察なども其の発露の一つであるし、SNS上に飛び交う罵詈雑言の多くも結局は“正義の暴走”の一種と見做して大過なかろう。しかし、これらが骨の髄まで愚かな大衆という存在にのみ帰せられる問題であるとは言い切れまい。そもそも“正義の暴走”は、遠く唐代の『五経正義』からしてそういう側面があったのだ。『五経正義』について語る前に、この編纂...
『周易正義訓読』野間文史訳注
- 2021/10/14
- 18:36

『周易正義訓読』野間文史訳注(明德出版社/2021年刊)明徳出版社から上梓された野間先生の『周易正義訓読』を春にある方より恵与された。ちょうど購入しようと思いつつ、分厚さと価格に二の足を踏んでいた矢先の事だったので大変有難く思って拝受したのだが、一読これは便利な本だと思った。『周易正義』について、拙ブログの読者諸氏には今更贅言を弄しての解説など不要に違いないが、『周易正義』の底本として魏の王弼注本が選...
正義の筮法
- 2021/10/11
- 18:14
人間誰しも自分のやっている事だけが正統なものだと思いたがるもので、そうでないのを否定しようとする意図が働くのは程度の差はあれ人である以上は避けようがないというのが本当のところだろうが、これが度を過ごすと相手への非難攻撃に変わって来る。宗教の紛争、殊に宗派間の醜い争い等は洋の東西古今を問わず全く同じ構図と見なすほかはない。ところで、先日youtubeで立筮の動画をあれこれ視聴していた際、太極に見立てた一本...
筮法さまざま
- 2021/10/08
- 19:28
ここ数年目につく限りの筮法に関する資料を渉猟して来て気づけば手元に集まった論文類も相当な数に上る。もとより数理には滅法弱くて学生時代の数学の成績も悲惨とまでは行かぬものの、他教科に比べると明らかに不得手を感じさせる点数ばかり取っていて、それでも小学算数の頃までならそれなりによく出来た記憶があるけれど、少し複雑になって来ると私の粗雑な作りの頭ではキャパオーバーになってしまったらしい。そんな風であるか...
筮を撃つ
- 2021/10/04
- 18:22
我々が今日手にする『易経』の解説本では繋辞伝大衍之数章のところで、『本義』巻末に収載された朱子の筮儀を引いて説明するのが一般的だが、筮儀を事細かに述べてあるから引っ張りだこになるのも当然だろう。加えて我が国は江戸時代に朱子学の全盛を見たから、ほとんど全て朱子によって筮儀を理解していたと言っても良い。しかし、この筮儀は朱子自らの考案であるのか、先儒より伝を受けたものであるのか、或いは其の折中に成るも...
算木を磨く
- 2021/10/01
- 18:24

蓍策を用いるようになれば当然算木の出番も増えて行く。勿論朱子のように漆板に墨書するという味わい深い懐古趣味も悪くはなかろうが、如何せん手間がかかるし、墨があらぬところに飛んでしまうとそれを揉み洗いするという又別の手間がかかってくるのは流石に煩わしい。愛用しているのは以前フルオーダーで作った万能算木だが、機械加工だった為、角に嫌なささくれがあり、使用しているうちに是れが段々気になって来た。算木敷に見...