おみくろん
- 2022/01/27
- 18:21
再びコロナの新規陽性者数が急増して我が大阪もマンボーに又もや突入、行きつけの飲食店が時短や休業に移行して、外食率の高い庵主には文字通りの冬の時代に逆戻り。と言っても、目の敵にばかりされる飲食店こそ気の毒な限りで、友人の営む中華料理店(普段なら予約なしには入店困難)もキャンセルの連続だという。しかしながら今回のオミクロン、散々言われているように感染力こそ高けれど、重症化率は滅法低いということで、加え...
曲阜の蓍草
- 2022/01/20
- 18:06
これまで幾度となく書いてきたことであるから、もう書く方も繰り返しに些かうんざりしているところもあるのだけれど、現在「蓍」の基原について中国ではキク科ノコギリソウを以て是れに当てており、和名の「メドハギ」とは全く異なった植物がそれだとしている。庵主が此の中国での比定に否定的であるのも既に読者諸賢の知る所と思うが、これにはもう一つの傍証があって、それを今日は披瀝してみたい。大正八年、林泰輔博士(1854~...
阿部広之進のこと
- 2022/01/16
- 10:44
年初にネットオークションに出品されていた筮具類が如何なる研究者の手に帰したものかという点も気にかからぬでもないが、私が注意を引かれたのは実は出品者のほうであった。他の出品物を拝見した限り、占い関係者ではなく、リサイクル業者的な出品者であるようにお見受けしたが、出品地が宮城県であることに興味を持った。それは、ひょっとするとあの筮具は阿部広之進の旧蔵品ではないかと思ったからだ。阿部広之進と聞いてピンと...
珍しい算木
- 2022/01/13
- 18:19

年初にヤフオクで珍しい筮具一式がセットで出品されていて、散々競り合った末に87000円という高額で落札されていたのだが、一品一品が非常に珍しく興味を引かれた。私が落札して蒼流庵蔵に帰したというものではないから、掲載に若干躊躇するところもないではないが、史料的価値が高いように思われるし、また調べてみたところ、ネットオークションの商品画像というのは著作権の対象外であるらしいことと、商用利用ではないことを鑑...
算置考
- 2022/01/10
- 11:13
最近、『新陰陽道叢書』第二巻に収載されたマティアス・ハイエク氏の「算置考」を拝読した。「算置」とは、中世から近世初期にかけて活躍した民間職能者の一種で、算木を用いた占いをする。先行研究の乏しい現状にあってハイエク氏の論考は極めて貴重で且つ啓発的。易占に於ける算木は江戸中期に用いられ始めたと考えている庵主には特に其の観点から是れを興味深く読んだ。ハイエク氏によると、算置の描写が見られる資料は大きく分...
250枚の法則
- 2022/01/07
- 18:50

その分野のエキスパートになる為には、1万時間を費やすことが必要という「1万時間の法則」なるものがあるそうだ。これが妥当な数字なのかどうかはよく分からぬが、私も自分で発見した「250枚の法則」というものを持って居る。自分は或る分野を学習する時、wordでA4のまとめノートめいたものを拵えるのを習慣としているのだが、それが250枚を超えた辺りから、その分野に対する自信が生まれて来るという経験を何度も繰り返していて、...
れっつすたでぃ
- 2022/01/05
- 16:45

三が日は久しぶりに漢文のお勉強。テキストは以下の三冊(ただし全て再読。年末年始は新規の学習より過去の復習に向くという自論)。西田太一郎『漢文法要説』濱口富士雄『漢文語法の基礎』楊伯峻『漢文文法と訓読処理』今更こんな入門書かと言われれば、なるほど私の漢文読解力など其の程度である。しかし言わせてもらえれば、入門書だからと言って程度が低いことを必ずしも意味しないし、それなりにキャリアが長くなっても入門書...
天子、剣をとる
- 2022/01/04
- 10:43
仕事が一段落すると、これまで積読になっていた本を漁って目についたものを適当に数冊選んで読み、頭の体操をするのだが、昨年は割に当たりの多い年だった気がする。昨年といっても積読の中から読むわけだから、読んだのが昨年というだけで実際の刊行年は古いものばかり、例えば其の中から幾つかを挙げれば、舟橋聖一『悉皆屋康吉』、水上勉『越前竹人形』、源氏鶏太『重役の椅子』、高杉一郎『極光のかげに』、城山三郎『鼠』とい...
『限界を超えた村』竹森正人著
- 2022/01/03
- 10:13

『限界を超えた村』竹森正人著(東高文庫/2021年刊)“限界集落”という言葉を知ったのはちょうど東北大震災の前年あたりであったから十年以上前のことで、当時熱心に行っていた石薬調査の為、九州の山間部にある超過疎の村落を訪れたのであるが、本書は“限界を超えた村”つまりは限界を突破して消滅してしまった村の物語である。著者の生まれ育った高知県の白石村が消滅するまでを昭和三十年代から順に回想したものであるが、淡々と...
冬至年筮のこと
- 2022/01/02
- 13:27
冬至の日に執るということになっている年筮を私は元旦にしか試みたことがなく、それは自分が新暦に完全に染まり切っていて、冬至と言われても風呂にゆずを放り込む日という以外に別段実感を持って居ない為なのだが、これも伝統を重んじる易法家氏にしてみれば怪しからぬ、或はナンセンスを糾弾されるべき事柄であるのやもしれぬ。しかし、本当のところ冬至における年筮というのはどれほど伝統を誇るに足る来歴を持って居るものなの...
謹賀新年
- 2022/01/01
- 14:25

蒼流庵随想を御覧の皆様、新年明けましておめでとう御座います。昨年は年初の山雷頤初九から然して面白からぬ一年になるものと覚悟していましたが、思いもよらぬ凶運に見舞われて、或いは生涯を振り返っても過去最悪の年であったかも知れず、山雷頤の印象が自身の中で急降下した年であったように思います。それも馬鹿者によって外部より齎されたものなので、自衛の方策すら無く、甚だ受動的なものであったのは遺憾の極みと言う他あ...