『易学大講座』奉献の旅
- 2022/02/26
- 10:47

古い『易学研究』に磯田英雄氏が「『易学大講座』奉献の旅」と題した記事を寄稿されているを見付けた。時は昭和17年12月というから敗戦の2年以上前のことである。「かねてから加藤先生はじめ我々一同の念願であった神宮へ奉献するための『易学大講座』特製本が出来上がったので、十二月十八日の夜、それを奉持して、加藤先生のお伴をして私は伊勢へ向つた」という書き出しで此の小篇は始まっている。出版した本を神宮へ奉納するの...
イソダマイル
- 2022/02/23
- 13:02

『易学大講座』は加藤大岳氏が自ら筆を執った著作ではなく、門人らの講義ノートを文字起こしして成ったもので、第一巻々頭を飾る序言の末尾に編集委員として六名が記載されているのだが、或いは此の配列は当時の岳麓精舎に於ける序列がそのまま反映されているものであろうか。そうすると、後で門下に加わった江藤幸彦氏が先輩格の紀藤元之介氏より先に来ているのはおかしいことになるが、単純に『大講座』への貢献度の順としても、...
伏卦のこと
- 2022/02/20
- 10:39
大岳易における三変筮は卦爻を得る手順こそ白蛾が行った略筮法と同じであるけれど、得爻の陰陽をひっくり返して得られる大成卦を之卦ではなく伏卦と呼んで、得卦の中に含み蔵されている一つの動きとして補助的に解釈する点に特徴がある(之卦をこのように取り扱うことには特にアンチ大岳を標榜する立場からの強い批判があるのだが、その問題はここでは一先ず置いておくことにする)。そして、『易学大講座』の一つの欠陥として、ま...
好きな卦
- 2022/02/17
- 23:15
坎為水を“男子本懐の卦”としたのは加藤大岳氏で、これが独り歩きしてしまっている感があるけれど、『易学研究』に掲載された晩年の随筆などでは、このような卦は今では敬遠したという気持ちが強いと何度も述懐されていて面白いが、実のところ最初期の著作に数えられる『易学大講座』でさえ、すでにかかる気持ちが芽生え始めているらしき事が看取されるのである。第三巻の謙卦解説において、氏は自身の好む所の易卦の変遷について順...
近衛第二次内閣の前途に対する筮占
- 2022/02/15
- 19:29
かつて近衛文麿をベタボメにした石龍子の観相人物評論を取り上げた事があるが、実は御大でさえ此の点では同時代の占者と似たり寄ったりであったらしいのを、『易学大講座』第七巻から覗き見る事が出来るようだ。革卦解説の末尾に附された占例「近衛第二次内閣の前途に対する筮占」は文字通り、昭和15年7月22日に組閣された第二次近衛内閣の其の後を予想したもので、得卦は沢火革之水火既済とある。『易学大講座』に収載された占例...
『易学大講座』再読
- 2022/02/13
- 12:51

講座準備の為に先月から『易学大講座』を久しぶりに読み返している。通して読むのは四度目か五度目になるだろうか。所謂大岳易に於ける基本文献とされているから、読んでいる人は何十回となく再読しているのだろうけれど、特別大岳易の信奉者という訳ではない自分は未だ其の程度の回数しか読み返せていない。だいたい此のウネウネした回りくどい文体が初読時にはストレスでしかなかった位で、第一印象の悪さは過去目を通した易書の...
古藤友子先生を悼む
- 2022/02/09
- 18:26
国際基督教大学で教鞭を執られた中国哲学者の古藤友子先生が先週帰天された。1951年のお生まれというから未だ主の御許に旅立たれるのには人生100年時代などという言葉が囁かれる様になった昨今、余りに早すぎるような感じがするものの、随分前からパーキンソン氏病を患われて、数年前にどこかの施設に入られてからは余り御噂を耳にする事もなくなっていた。正直訃報に接してから先生が1951年の御生まれであったことを知り、驚いて...
楽しい揲筮動画
- 2022/02/07
- 18:11
すっぽん調理は今ではプロの料理人にまで教授に出向くようになったけれど、そもそも解体に関しては誰に学んだ訳でもない。手本はyoutube先生のみ、あえて言えばスプラッターな動画投稿者の諸氏方々こそ我が師と言って言えぬでもない。諸氏方々と言ったのは、特定の動画のみを参考にした訳ではない為で、解体の手順は人さまざまである。勿論基本的なポイントは共通しているのだが、細かい点では色々な相違があって、結局のところは...
2021年蒼流庵易学講座の御感想
- 2022/02/02
- 18:06
昨年1月より、修験仲間でもある獣医師の女性に易学を教授する機会があって、残念ながら受講者側が夏から多忙になった為に、当初予定していた内容を完全に消化することは叶わなかったのだけれど、それでも六十四卦は駆け足で二回読み(初回は4か月かけて彖象伝も含めて一字一句飛ばさずに読み、二サイクル目は経文のみ)、繋辞伝以下の翼伝の残りも全てやった上に簡単な占考のテクニックを纏めたテキストも一通り御説明することが出...
GIFU
- 2022/02/01
- 18:08
恥ずかしながら、「岐阜」という県名が、易辞にも見えて居る「岐山」の「岐」と、孔子の生まれ故郷である「曲阜」の「阜」を合わせたものであるというのをつい最近まで知らなかった。名付け親は織田信長とも言われているが、異説もあって確かなことは判らないらしい。しかし、荘厳な県名にも拘わらず、易はおろか儒教がらみのこじゃれたモニュメント一つ県内に無さそうなのは如何にも寂しい話だ。その点、九州は孔子が熱い。長崎の...