二冊の『都市の見えないメカニズム』
- 2022/07/25
- 20:50

目黒先生の『都市の見えないメカニズム』という傑作の存在を私が知るところとなった十数年前には既に古書価は相当な高騰を見せていて、現在と同じくAmazonの古書価格では5万円前後の値が付けられていたように思う。今回、復刊に関わる事前情報を先に得る幸運に恵まれた私は、インサイダーさながらに売り抜けて泡銭を得ようかとも考えたのだが、幸か不幸か手持ちの二冊は孰れも特別な来歴を持っており、業界で最後に先生に会うこと...
『世界と日本の 地理 風水』目黒一三著
- 2022/07/18
- 16:35

此度、長らく“幻の本”として定価の十倍を超える古書価で取引されていた三代目目黒玄龍子著『都市の見えないメカニズム』が装い新たに復刊されることになった。実に二十八年ぶりの再刊である。此の本については随分前に一度記事にしているが、今回再刊に当たって若干の協力をさせて頂くことになり、久しぶりに読み返す機会を得、改めて其の内容の素晴らしさに感じ入った。占いに格別の関心を持たない極く普通の知識人の味読にも充分...
私見、プロの御道具観
- 2022/07/17
- 16:11
今日披瀝するのは完全なる私見であるから難癖をつけられても困るのだけれど、どんな道具を使っても卦が立つから問題無しとして粗悪なる筮具を用いているような人は、畢竟単なる貧乏人の痩せ我慢ないし虚勢ではないかという気がせぬでもない。例えば、どんな分野でも一流の範疇に属する人というのは使用する御道具に対し、部外者にはべらぼうと感じられるほどの金をかけているのが普通である。弘法筆を選ばず、等というけれど、実際...
KRK35
- 2022/07/16
- 19:08

木藤謙さんから最初に頂いた筮具類の中に汎日本易学協会が創立三十五周年を記念して制作したケロク器があり、その顛末が『易学研究』昭和46年10月号の「得卦の個殊性」に見えて居る。汎日本易学協会が創立されてから今年が三十五周年に当ります。それで、それを記念する集りをしようということになりました。二十周年、三十周年のときは、記念祝賀会の折に、参会者に小型算木だとか、ふくさ(算木敷きに代用)などを記念品として贈...
BAMBOO
- 2022/07/15
- 18:59

最近は御手製の蓍策による立卦が主である為、筮竹の出番は皆無なのだが、手元には昔木藤謙さんより恵与された紀藤先生旧蔵の筮竹が三セットある(一つは煤竹風)。『易学研究』昭和47年9月号冒頭の加藤大岳氏の随想「木・一日長ぜざれば則ち枯る」に紀元書房製筮竹の制作工程について詳しく書かれてあって、竹細工などに興味のない私のような人種にも中々面白く感じられる読み物であった。竹など何時伐っても良いものだと思ってい...
何ぞ必ずしも蓍亀を以ひん
- 2022/07/14
- 18:04
周易占に限って言えば、立卦には正統なる占具である(と思われている)筮竹をこそ用いるべきだとする立場と、立卦出来るなら筮竹以外のものを使用して一向に差し支えないとする立場とがある訳だが、安易に卦を起こし過ぎる簡易立卦具の弊害について警鐘を鳴らした加藤大岳氏は前者の立場であるし、もっと強く無筮立卦を批判していたという呑象高島嘉右衛門も前者に属する易占家であると言えよう。しかし、今日易占を行う者の過半数...
蓍策と筮竹
- 2022/07/13
- 18:48
早とちりする人が居ると困るので以前にも何度か書いた主張を今更ながらに繰り返しておくことにするけれど、私はメドハギこそが正統の立卦具だからそれを使うべきだとか、別段そういう主張をするつもりはない。勿論、歴史的にメドハギ製の蓍策が本来であることには確信を持っているけれど(中国で当てられているノコギリソウとの比較も一応考証を済ませてある)、易占というのは数字さえランダムに拾えれば卦は立てられる訳だから、...
国盗り物語
- 2022/07/10
- 09:15

私は原作を読んでいないので、オリジナルに其のシーンがあるのかどうか存じ上げないのだけれども、1973年に司馬遼太郎の『国盗り物語』をNHKが大河ドラマにして放映した際、第七回で平幹二朗扮する斎藤道三が筮占を行う場面があったそうだ。監修者とした加藤大岳氏に白羽の矢が立てられたのだが、其の時の顛末が『易学研究』昭和48年2月号に見えて居る。大河の監修ということで、御大もいつになく気合が入ったらしいが、足利の末期...
めどはぎ
- 2022/07/07
- 18:12

『易学研究』昭和47年7月号見返しに「めどはぎ」と題した加藤大岳氏の短い随想が掲載されている。昨年の夏の初め頃、河原忠幸氏から“めどはぎ”の鉢植えにした一株を頂戴した。それは信州の蓼科あたりで採取されたもので、御前進講の栄に浴されたこともある植物学の泰斗が「まさしく“めどはぎ”である」と折紙を付けられたものであるということであつた。金曜講座で皆んなに見せ、いまに大きく育つたら一株づつ分けて進ぜようなどと...
蓍策作成のヒント
- 2022/07/04
- 18:29

初めての蓍策作成から此の夏で九年になる。長くやっていると自然と自分なりのノウハウというものが蓄積されて来るもので、今日は同じように蓍策を自作してみたいという人の為にそれらを公開してみようと思う。もっとも、飽くまで個人の経験に基づいたものに過ぎず、これが正しい作成法などというものがそもそも存在しないのは申し述べるまでもない。まず、採取の時期だが、あまり遅くなると成長したメドハギが太くなり過ぎることと...
タートルマウンテンスティック
- 2022/07/01
- 20:30

本邦に於ける蓍の産地について、『和漢三才図絵』は「吉野丹波亀山及比叡山等ノ霊地ノ山谷ニ之アリ」と云い、『日月卦傳鈔』は「常州築バ山ノモノヲ第一トス。丹波亀山ノ産ハコノ次ナリ」としており、両書に共通する丹波亀山は、当時蓍の産地として知られていたらしい。“第一”として挙げられる筑波山も気にならぬでもないが、何せ此の暑さでは遠征する気力に乏しく、加えて衛星で見た感じでは今一つメドハギ感に乏しい雰囲気が漂っ...