八卦の象意と雑卦伝
- 2023/04/28
- 23:55
先程終えた第26回オンライン講座では、説卦伝解説の延長として「八卦の象意」と題した六頁のテキストを解説し、続けて「雑卦伝」についてもお話した。「八卦の象意」は、紀藤元之介『活断自在』の53頁から71頁まで記載された八卦の取象例に、庵主の判断にて現代的なもの若干を増補したテキストであり、古めかしい「説卦伝」の取象を一応は頭に入れたうえで、より実践的な理解に努める必要があると判断してのことである。巽を魚とす...
天回医簡
- 2023/04/23
- 19:38

待ちに待った前漢の出土医書群『天回医簡』の全文公開、項数の割に安価に感じることの多い中文書のなかにあって、美術書並みの価格に只々驚かされるが、内容は大変充実している。推奨年齢は10 歳以上 (出版者より)だそうだ(笑)。2012年、四川省成都市金牛区天回鎮の「天回漢墓」三号墓より発見された夥しい数の竹簡の写真をフルカラーで収めたのが上巻、釈文と注釈を収録したのが下巻である。初め、本書の出版が伝えられてもピン...
旧大和水銀鉱山へ
- 2023/04/21
- 18:12

アルバムを見ると2010年11月6日となっていて、もうすぐ13年の歳月が流れようとしている訳だが、金剛山の旧千早鉱山附近の谷あいを散策し、初めて辰砂を手にした時の歓びは今も忘れがたい。余りの超貧鉱につき、程なくして奈良の多武峰鉱山へとフィールドを移したが、ここは千早とは打って変わって面白いように拾うことが出来た為、幾度となく通って、もうイヤという程の標本を集めることが出来た。もっとも、大半は横着して表面保...
牧野富太郎 もう一つの顔
- 2023/04/18
- 18:11

たとえば大衆文芸等の形を通じて一般人を啓蒙することの意義を必ずしも貶めるつもりはないけれど、作家の創作が史実に紛れ込んだりして、著しく実像が歪められて広まる場合が少なくないのは、今更司馬遼太郎を引き合いに出すまでもない。毎朝楽しく視聴している『らんまん』にしたところで、今のところは牧野富太郎の自己チューぶりもまずまず表現されているように思われるから、今後の展開次第ではあるが、下手をすると純真無垢な...
説卦伝読了
- 2023/04/15
- 10:05
昨晩の第25回オンライン講座では、受講者諸氏と共に『説卦伝』を読解。当初は続けて『雑卦伝』も読むつもりでいたのだけれど、同時に読んだのでは多少時間をオーバーすることが判った為、二回に分けることにした。一昨年の個人教授では、六十四卦読了後に文言伝、繋辞伝の順に残りの翼伝をこなしたものの、二年間という短い期間を考えれば、実占に於ける重要度の高いものは成るべく早いうちにやっておくべきだと思うようになった為...
『日本漢籍受容史』高田宗平編
- 2023/04/12
- 18:48

『日本漢籍受容史』高田宗平編(八木書店/2022年刊)世界に誇る日本文化も結局は中国の周辺文化の一つであって、その歴史は謂わば中国文化の、もっと謂えば漢籍の受容史と言い換えても良い側面を持っている。昨秋出た『日本漢籍受容史』は、その辺りを通覧するのに打って付けの書物であるようだ。それぞれの篇を第一線で活躍する優れた研究者が担当しており、最先端の研究成果が反映されていて、信頼度も高い。個人的には第二部五...
蒼流庵 in Kyoto
- 2023/04/10
- 20:51

今日は、オンライン講座の受講生でもある某ユネスコ協会会長F氏とM女史を御連れして大阪~京都を散策。お宿までお迎えにあがり、向かった一か所目はM女史の所望された緒方洪庵の適塾。10時前だったので、まだ資料館は開いておらず、すぐ傍の少彦名神社を参拝した後、F氏が長らく果たせずに居られたという武田薬品の杏雨書屋へ行き、特別展を鑑賞(今日が初日で我々は来訪者第一号とのこと)。中之島から高速で京都に移動し、上京区...
バイカオウレン
- 2023/04/05
- 09:26

テレビの力というのは実に想像を絶しているが、以前上中里にある多紀家墓所を掃苔した際、『JIN-仁-』の影響で多紀元琰(1824~1876)の掃苔にファンが詰めかけたという話を寺の人から聞かされて驚いたことがあった。緒方洪庵の墓に殺到するというなら未だ判らぬでもないが、多紀先生はそれほど魅力的な役柄だったとも思えない。どこでどんな余波があるのか予測不能だが、朝ドラ第三回ではようやく「バイカオウレン」が登場(オー...
『牧野富太郎 蔵書の世界』
- 2023/04/03
- 18:18

ついに牧野富太郎を描いた連続テレビ小説『らんまん』が今朝からスタートした。NHKの朝ドラを初回から観るなど初めてのことだが、富太郎の母親役の広末涼子が例によって異様な透明感を放っている。これだけでも観た甲斐があったというものだ。今日は『らんまん』放送開始記念として、高知県の牧野植物園が発行した『牧野富太郎 蔵書の世界』を御紹介しよう。『牧野富太郎 蔵書の世界』(高知県立牧野植物園/2002年刊)昨年、医史学...
麻野勝稔先生の長逝を悼む。
- 2023/04/01
- 18:00

先日、木藤謙さんよりメールで麻野勝稔先生の御逝去を知らせて頂いた。1月31日のことで、享年94歳という。先生は昭和30年頃に尚聖館に入門されているので、天台易学塾時代の入門者を第一世代とすれば、第二世代ということになろうか。四半世紀を越えて紀藤先生に師事した人はそう多くなかったらしく、広瀬宏道先生よりも門人としてのキャリアはずっと長かったようである。もともと公立中学校で数学を教えておられて、進路指導か何...