筑波山の蓍
- 2023/09/28
- 18:48

『日月卦伝鈔』に「我朝ニモ一根五十茎ノ蓍ハアリ。蓍ハ常州築バ山ノモノヲ第一トス」とあって、古くから筑波山で採れる蓍が上質のものとされていることは知っていたが、実地に調査する機会を中々持てずにいたところ、昨夏植物調査で関東入りした際、偶然にも筑波山の傍を通りがかっていることに気が付いた。この時は車で回れる範囲を散策したのみで、ケーブルカーで山頂まで上がってみるということはしなかったのだが、山の中はか...
亀スープ中華風
- 2023/09/25
- 18:46

ところで、白状すれば板前どころか料理の経験が殆ど無くて、庖丁を持って捌くのは夏場の亀が唯一の例外である。鯖も鯵も、魚類は一度も捌いた経験がない。恐らく日本で亀以外捌いたことがないというのは自分くらいではないかと思う。そんな風であるから、いざ何か食べたい料理を思いついても、それを実現する術が無くて途方に暮れることが少なくない。先日、毎年スッポンを進呈しているI君の中華料理店で、中華スープを出してくれ...
亀筮筒のこと
- 2023/09/22
- 18:17

「筮具抄」より今東光「筮具抄」には今氏所蔵の亀筮筒二種が写真入りで掲載されており、右は木工で、今氏は京都辺りの宮大工の作であろうと推測されている。左は正直線香立てのようにも見えて、これが本当に筮筒として製作されたものかどうか、私にはやや不審を感ずる点がないでもないのだが、今氏によると、清朝末期の青磁であるという。ミュンヘン五大陸博物館所蔵の亀筮筒は、私見では江戸後期に作られたものではないかと思うが...
木之宮ケロク&筮筒
- 2023/09/19
- 18:09

少し前から交流させてもらっている本筮易家の木之宮先生は、目下筮具製作の苦労を分かち合える殆ど唯一と言って過言ではない易法家で、御自身で工房を探されては象牙賽から算木、ケロクと、ありとあらゆる筮具をオリジナルで作られている。上掲は先生に撮影して頂いた木之宮ケロクだが、実は先日の安井ケロクは、此のケロクの寸法を参考に作って貰ったものである。麒麟ケロクは短いもので50cmあるので、もう少しコンパクトなケロク...
Kawaiケロク
- 2023/09/16
- 10:33

易学講座を受講されているKawai先生は日曜大工を趣味とされているそうで、麒麟ケロクを御覧になって、これなら自分でも出来そうだと製作を思い立たれたらしい。紫檀や黒檀等の唐木は数年前にワシントン条約に於ける取り扱いが厳しくなって、価格も上昇傾向にあるのだが、ネット上では安価な出物がまだまだあるから、それらを購入してケロク製作に没頭する日々とのことだ。一番最初に作られた縞黒檀製のKwaiケロクは、脚を雲形(確...
お高い安井ケロク
- 2023/09/13
- 19:12

一昨年、麒麟ケロクを何本か作って貰った木工店が昨秋突然クローズしてしまった為、新たに製作してくれる工房ないし職人を開拓しなくてはいけないと思い悩んでいたところ、その話を聞いた友人の安井よういち氏より「知り合いに腕の良い家具職人が居るので、試しに一つ作って貰おうか」との御申出を頂いた。下記は製作経過として家具職人氏が送って寄越した写真である。素材は庵主にとって初めての縞黒檀(万能算木と同じ材)である...
算木敷としての帛紗
- 2023/09/10
- 10:25

これまで、中筮や本筮を用いる際は、算木を二つ並べて用いる為に、横幅のある気に入った柄のランチョンマットを算木敷として使って来たのだが、三変筮で一つしか算木を使用しないのなら、茶道で使う帛紗(ふくさ)が此の用途には最も適しているのではないかという気がする。今回象牙算木を購入された受講者諸氏にも帛紗をオススメしてはみたのだが、先日阪急百貨店の茶道具売り場を覗き見たところ、思ったより高くて、5000円前後が...
吉村周山
- 2023/09/07
- 18:42

大阪象牙美術工芸協同組合発行が発行した『橒~関西象牙業界のあゆみ』(1988)は、我が国に於ける象牙製品の起源について「江戸時代、享保年間(1716~1735)に大坂の彫り氏、吉村周山が中国製の象牙細工を見てこれを模倣したのが始まりと言われ、主に根付の象牙彫が行われていた」と記すが、庵主は其の昔、根付の蒐集を行っていた時代があって(したがって象牙については一般より幾らか詳細な知識を持ち合わせている)、吉村周山...
象牙算木のこと
- 2023/09/04
- 18:11

以前、確か鏡リュウジ先生だったと思うが、Twitterで原書房が所蔵する非売品の象牙算木の写真をあげておられたように記憶している。しかし、象牙のサイコロはあっても象牙の算木というのは今日殆ど目にすることが出来ないようだ。私の調べたところでは、汎日本易学協会が『易学研究』誌の戦後復活を記念して製作したのと、協会の35周年の際に僅かに製作したことがあるという程度らしい。ただ、流石に高価だったと見えて、入手した...
象牙算木が完成
- 2023/09/01
- 18:30

昨秋からスタートした象牙算木製作プロジェクトが漸くにして実を結び、先日納品して頂いた。オンライン講座を受講されているO先生が偶々印章業界に関わりを持っておられたことから、その筋の有力者に頼んで製作してくれる象牙職人を当たって貰ったのであるが、普段製作しない代物である為、専用の工具(彫刻刀?)を作るところから始めないといけなかったらしく、一組の製作というのでは余りに申し訳ないこともあり、亦た受講者諸...