『誤解だらけの漢方薬』北山進三著(岡山リビング新聞社/2011年刊)
最近出る漢方の本にはロクなものがない。
すると俄然、本を買うのは、古本を漁るか、中文書を取り寄せるかの二択になる訳だが、そういう先入観のせいで、うっかり良書を見逃してしまうということもある。
『誤解だらけの漢方薬』はそんな一冊だ。
著者の北山進三先生は、倉敷で
寿元堂薬局を開局されている折衷派の漢方家で、薬局は歯ブラシも栄養ドリンクも置かないガチな漢方薬局である。
先生に初めてお目にかかったのは一昨年のこと、
奈良の薬草園ツアーであったが、以前、我が蒼流庵随想にて、御編著
『柴田良治処方集』を取り上げたことがあった。
本書は、薬草園ツアーの少し後、寿元堂を訪問した際に、直接頂戴したものであるが、一読して、非常に真摯な筆致に心を打たれたことを今思い返している。
本書の中で、先生は伝統的な日本の漢方が衰退してインスタントなエキス剤、病名漢方が跋扈している現状を非常に憂えておられ、一般に理解されている漢方が如何に誤解に満ちたものであるのか、そしてその真実の姿はどういったものであるのかについて、丁寧に平易な言葉で解説されている。
漢方のことを殆ど知らない人は勿論、プロが読んでも非常に有益な書物であることは庵主が請け負おう。
実際、昨年物故された関西漢方界の大御所・西脇平士先生も此の本に感銘を受けて何十冊かまとめ買いされたと聞いている。
ルビの振り方も此の手の本にしては珍しく非常に正確(おかしなルビを振ってる本って多いんだなコレが)。
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