莨菪を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/04/18
- 18:34
ハシリドコロ(2016年4月15日/奈良県天川村)
ロートコン(莨菪根)は、ナス科ハシリドコロの根茎で、早春に花を咲かせる植物であるが、林床下の薄暗いところに、しかも花は葉の下に隠れるように付く為、撮影がなかなか難しい厄介な被写体である。
夏前には枯れて跡形も無くなってしまう為、目にすることが出来る期間はごく短い。
シーボルトは、尾張国でハシリドコロを見つけ、ヨーロッパのベラドンナ(Atropa bella-donna)と誤って同定してしまったが、同じナス科の植物で、薬効も類似しており、以降日本ではベラドンナの代用薬として用いられることになった。
非常に毒性が強く、誤って食べると、錯乱状態になり、走り回って死ぬという意味で、「ハシリドコロ」の和名があって、他に「キチガイイモ」や「キチガイナスビ」とも呼ばれる。
物騒な植物だが、早春の新芽はフキノトウなどと誤認されやすく、食中毒にくれぐれも注意しなければならない。
大阪では希少な植物(和泉葛城山に分布するという)であるが、兵庫や奈良では多く見られる。
庵主が撮影したのは、奈良県天川村の渓流沿いで、群落という訳ではないが、かなり広範囲に点在していた。
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