太子参を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/04/24
- 20:40
ワダソウ(2018年4月23日/広島県庄原市)
趙学敏の『本草綱目拾遺』に「百草鏡にいわく、太子参というのは遼参の小さいもののことで、別の種類ではない。これは蘇州の人参問屋で人参の包の中から挾りだした小さいものをこのように名付けて売り出すのだ」とあり、これらから察するに2~3年生の間引き人参を太子参といったもののようである。
しかし現在市販されている太子参は決してウコギ科(Araliaceae)のものではない。
別名を「孩児参」と称するが、これはこの薬が子供の虚汗に有効なものだからで、これを正名とすべきであろう。
以上は、『難波図鑑』からの引用であるが、基原が入れ替わった時代や理由については詳しく述べられておらず、紹介はごく簡単なものである。
日本では殆ど用いられない為、知名度もさして高くないが、台湾では単味製剤も作られていてメジャーな生薬であるようだ。
ちなみに、このワダソウ、ミシマサイコ以上の希少種で、自生地はごく限られている。
この産地は、実は昨夏、猪苓探しで登った山で、昨年弁当を食べた休憩所付近にスミレに混じってかなりの個体数を確認出来た。
掘ってみたいという衝動に駆られるも、超希少種につき、地上部のデジタル採取に留めた。
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