萊服子を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/04/28
- 09:14
ハマダイコン(2014年4月27日/大阪府阪南市)
“薬は毒である”という吉益東洞の考え方からすれば、医食同源や薬食同源などと言って、薬と食とはもともと同じものだ、だから食べ物で病気を治すことが出来る、といった言説は畢竟、健康食品を売り込もうとする商売人のデマカセに過ぎないと、私が漢方を習った先生はよく言っておられたが、馬王堆の出土医書『五十二病方』を見ると、やはり薬は食の延長であったらしいように思われる。
それは、その頃(恐らくは戦国末)の薬物療法では、附子のような明らかに毒性の強いものも記載されるとはいえ、全体には食品の区分に入るものが多く使われているからだ。
しかし、今日、漢方で用いられてる生薬に、食品区分のものは、生姜や棗など幾らかあるとは言え、やはり少数派の部類に入るようである。
身近な野菜に由来する生薬としては、ダイコンの成熟種子を萊服子と言って、健胃去痰の薬として用いるが、種子を用いるようになるのは後のことで、『新修本草』に萊服根とあるように、最初は根を用いていたようだ。
ハマダイコンは、古くに栽培していたダイコンが野生化したものだとも、ハマダイコンを栽培したものが現在のダイコンだとも言うが、いずれにせよ、大阪でも海岸を探せば多く見つかる。
面白いことに、このハマダイコン、ゴミが漂着しているような汚い海岸がお好みらしく、綺麗な砂浜ではあまり見られない。
掘ってみると、ダイコンというより朝鮮人参のような趣きのある雰囲気である。
家に持ち帰って大根おろしにチャレンジしてみたが、繊維が多すぎてまったく歯が立たなかった。
ただ、しがんでみると味はやはり大根である。
豆を割ると、萊服子が得られるが、写真はまだ未熟種子である。
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