細辛を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/05/11
- 21:26
ウスバサイシン(2014年5月11日/奈良県)
このひと月ほど、庵主がフィールドで探し当てた生薬をアレコレご紹介して来たが、使用頻度という点ではそのどれと比較しても、今日ご紹介する細辛は頻用の薬物であると言えよう。
仲景方では、小青竜湯や麻黄附子細辛湯など、含有処方は二十二方にのぼる。
ウマノスズクサ科ウスバサイシンやケイリンサイシンを基原とし、どちらも日本で見られないことはないが、ケイリンサイシンは九州に一部分布するだけで、ウスバサイシンは基本的に関東から中国地方にかけて自生するから、いずれも大阪では見ることが出来ない。
しかし、近場では私の知る限り、奈良県に一か所だけ群落を形成しているところがある。
掘ってみた。
クロフネサイシン(2014年5月10日/大阪府南河内)
大阪では、クロフネサイシンというのがあり、かつての九州産細辛は本種だったというが、たぶん現在は流通していないのではないかと思う。
ウスバサイシンとクロフネサイシンは、地上部は非常によく似ていて、私のような素人は勿論、かなり詳しい人でも見分けがつかないようだ。
左:ウスバサイシン/右:クロフネサイシン
しかし、花さえ咲いていれば、雄蕊6個、花柱3個とクロフネはウスバの半分であるので一目瞭然。
葉は初心者には、フタバアオイと見分けがつきにくいが、フタバアオイの葉には光沢があり、葉の模様がやや複雑である。
フタバアオイ(2013年5月16日/大阪府南河内)
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