天南星を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/05/12
- 17:24
ムサシアブミ(2018年5月10日/宇和島城登山道)
“天南星”の三字は、何やらロマンチックな字面であるが、基原の容貌は蛇が鎌首をもたげたような恰好をしていて、毒々しい姿そのままの有毒植物である(半夏などもそうであるが、サトイモ科には有毒植物が多い)。
蛇の頭のように見えるのは花を包む仏炎苞という部分である。
天南星の仲間は種類も多く(大阪の金剛山には4種類分布していると、近畿植物同好会々誌の最新号に書かれていた)、分類の難しい植物らしい。
薬用にされるのも、難波図鑑は、マイズルテンナンショウ、コウライテンナンショウ、チョウセンテンナンショウ、日本産はムサシアブミ、マムシグサ、コウライテンナンショウを挙げている。
要はどれを使っても似たようなものなのかもしれない。
ムサシアブミは、文字通り馬具の鐙をひっくり返したような恰好が可愛らしいということで人気が高く、園芸目的の採取が行われる為、数が減ってきている植物である。
葉はかなり巨大
大阪では北摂の一部に分布すると聞いて三度出かけるも、結局場所を特定出来ず仕舞いであったが、一昨日、愛媛の宇和島城に登ったところ、登山道はムサシアブミだらけであった。
大阪では希少種であるが、四国や九州では普通に見ることが出来るありきたりな植物らしい。
マムシグサ(2013年5月23日/大阪府泉佐野市)
ムサシアブミと違って、マムシグサ(正確な種類は不明。ナンタラテンナンショウかも知れない)は山に入ればもう嫌という程見つかる。
2013年10月17日/大阪府河内長野市
秋になると、ヤマゴボウのようなこれまた毒々しい姿になったマムシグサがよく目につくようになる。
掘ってみると、当たり前だが、生薬の天南星そのままの姿であるのが嬉しい。
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