狼牙を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/07/31
- 18:00
ミツモトソウ(2017年7月31日/伊吹山)
『金匱要略』婦人雑病篇に陰部の痛痒に用いる薬方として、狼牙湯というのが見えている。
湯といっても煎服する訳ではなく、外洗方、つまり外用薬の一種だ。
狼牙は、『神農本草経』下品に収載されているから、古くから知られた生薬らしいが、あまり使用頻度の高いものではないらしく、仲景方では同じく『金匱要略』に心痛に用いる九痛丸というのが出ている程度。
基原も今一つよく判らない生薬だが、赤松和漢薬では「未詳」としつつ、バラ科ミツモトソウとマメ科コマツナギを挙げている。
ミツモトソウは、大阪の奥河内で見たという人が居たので、場所を教えてもらって二三度探し回ったが結局発見に至らず(そもそも桑島正二の『大阪府植物目録』には記載されていない)、ようやく出会えたのは昨夏、松浦薬業の加藤久幸先生に案内して頂いた伊吹山の山頂であった。
コマツナギ(2013年7月7日/大阪府阪南市)
ミツモトソウと違い、コマツナギは雑草として身近に普通に見られるので、掘ってみた。
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