続断を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/08/28
- 18:43
ナベナの花(2015年8月28日/大阪府南河内)
『神農本草経』上品の部に記載される続断は、現在は正條品としてマツムシソウ科トウナベナの根を充て、このものは我が国に分布を見ないが、近縁種であるナベナが北海道を除く全国に分布し、大阪では南河内で稀に目にする。
“続断”の名称は、筋骨の折傷に効果があることから来ているらしく、他に“属折”や“接骨”などの別称があるが、婦人の不正出血や切迫早産といった女性の疾患にも用いられ、使用処方としては『証治準縄』の続断丹や『婦人良方』の続断丸、『医学衷中参西録』の寿胎丸などがある。
松岡玄達や小野蘭山といった江戸期の本草家は、シソ科のオドリコソウを続断の基原と誤認していたようだ。
ただ、かつて和続断として流通していたものは、オドリコソウでもなければ、ナベナでもなく、アザミの仲間の複数の植物の根が用いられていたらしく、基原は相当に混乱が見られたらしい。
ナベナもどこかアザミに似た雰囲気がある。
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