青蒿を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/09/15
- 14:28
クソニンジン(2014年9月15日/大阪市旭区)
『神農本草経』に下品として収載される青蒿は、キク科クソニンジンの帯果あるいは帯花枝葉で、清熱涼血の効があり、使用処方には『温病条弁』の青蒿鼈甲湯などがある。
1972年、クソニンジンの葉から抗マラリヤ薬となるアルテミシニンが分離されたが、発見者である屠呦呦女史(1930~)は、2015年に中国人としては初めてのノーベル生理学・医学賞を授与されている。
我が粟島行春師は、今から20年以上前に海南島を訪れた際、女史に会って直接話を聞かれており、何度かその時のことを講座で話されたことがあった。
「三無科学者(大学院を出ていない、海外での教育研究の経験がない、国立の研究機関に属していない)」と呼ばれ、最近まで全く無名の研究者であった女史の研究に恐らく日本人として最も早く注目した師の慧眼には脱帽させられるばかり。
なお、クソニンジンというばっちい和名はハキダメソウやヘクソカズラなどと同様牧野富太郎の命名。
大阪でも帰化植物として河川敷などで稀に見られるが、暑い時期に河川敷を徘徊するのは中々勇気がいる。
強い臭気があるというのだが、生薬探偵にはキク科によくあるありきたりな臭いにしか感じられず、感じ方には相当個人差があるようだ。
カワラニンジン(2013年8月20日/大阪府枚方市)
青蒿の基原には、クソニンジンの他に同じキク科のカワラニンジンも充てられることがあり、牧野富太郎もまたカワラニンジンを青蒿の基原としているが、アルテミシニンの含有という点ではクソニンジンに軍配が上がるらしい。
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