党参を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/09/22
- 15:31
ツルニンジン(2013年9月20日/大阪府南河内)
党参について、難波和漢薬は、
『本草綱目拾遺』に「上党参」の名で収載されている。
元来上党参は潞州上党産の人参(オタネニンジン)のことで、その品質最良の点から称されたのであるが、無計画な採取によるものか、植生の変化によるものか、この地から人参が産出されなくなり、代わって根の外観は似ているが、植物的には全く異なった党参が産出されるようになったものと思われる。
とし、今日党参は人参の代用として中国などでは普通に使用されているが、仲景が用いた人参はオタネニンジンではなく党参でなかったかとする説も唱えられていて、この説は張錫純の「人参解」を以て嚆矢とする。
最近では同説は専門家の間でかなり確かなものとして認識されているらしいが、このように今日代用品とされているものが本来の正條品であるという例は他にもあって、先に紹介した前胡などもその一つであるらしい。
基原であるキキョウ科ヒカゲノツルニンジンは、我が国に自生を見ないが、在来種のツルニンジンは時折林縁部などで見つけることが出来る。
ただ、採取して薬酒にする人が居るらしく、昨今それほど頻繁に目に出来るものではない。
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