牛膝を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/10/05
- 23:37
ヒナタノイノコヅチ(2018年10月5日/ご近所)
『神農本草経』に上品として記載される牛膝は、ヒユ科ヒナタノイノコヅチの根を乾燥させたもので、陶弘景は其の名の由来を茎に牛の膝に似た節があるからだと言っている。
活血化瘀の効があり、婦人に用いられることが比較的多いようだが、馴染みのある含有処方では、『済生方』の牛車腎気丸や『産論』の折衝飲、『万病回春』の疎経活血湯、『和剤局方』の大防風湯などがある。
左:ヒナタノイノコヅチ/右:ヒカゲノイノコヅチ
イノコヅチにはヒナタとヒカゲの別があり、薬用にはヒナタを使うことになっているのだが、根を比較してみると、ヒカゲがショボショボしているのに対し、ヒナタの方は太さがあることが判る。
左:ヒナタノイノコヅチ/右:ヒカゲノイノコヅチ
ヒナタとヒカゲの見分け方であるが、和名の通りに日向と日陰という生育場所だけで判別出来るほど単純ではないようだ。
ただ、街中で見かけるのは全てヒナタで、山の中に入ると全てヒカゲになる。
両方混生している里山では見分けるスキルが必要となり、一般的にはかぎ状の苞の下にある付属物の大きさや小花の大きさで区別するということになっているが、これらは早い時期では観察出来ないし、“大きさ”というのはあくまでも比較の問題である。
判りやすいのは、ヒカゲは綺麗な葉だが、ヒナタはヨジれたような格好をしていること、また、葉の表面にある細かい毛がヒカゲでは垂直に立ち上がって生えるのに対し、ヒナタでは斜めに生えるという違いがある。
これらは、近畿植物同好会の横山先生に伝授して頂いた秘伝である。
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