牡丹を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2018/11/25
- 10:50
ヤブコウジ(2017年11月25日/大阪府奥河内)
“立てば芍薬、座れば牡丹”とは、まるで広末涼子ちゃんの為にあるような言葉であるが、いや、待てよ、広末涼子ちゃんには“清楚”を花言葉に持つ桔梗の方が似つかわしい、いや、“清浄”のササユリの方か、などと彼是考えてしまう。
それはさて置き、牡丹は芍薬と並んで美しい花の代表的なものとして認識されていることが判るが、江戸考証学派の先駆の一人狩谷棭斎や森立之らは、唐以前の牡丹はサクラソウ科ヤブコウジの類であるいい、どうもこの論文など読むと、それが本当らしい。
華やかな牡丹と地味なヤブコウジでは、似ても似つかないのだが、植物分類学の知識が未発達でかつ写真技術のなかった古代にあっては、このような混乱が頻繁に起こり得ることは、これまでも散々見てきた通りだ。
牡丹皮は『神農本草経』では中品として記載されており、仲景方では鼈甲煎丸・桂枝茯苓丸・温経湯・大黄牡丹皮湯・八味丸の五方に用いられ、これらの処方は全て出典が『金匱要略』に偏っていることが目につく。
上記処方を見れば判るように、主に瘀血に対して用いられ、いずれかと云えば婦人科系の疾患に用いられることが多い。
現在、栽培品は奈良県が有名で、芍薬も主に奈良が産地となっているようだ。
ヤブコウジの方は府下では金剛山系で割と普通に見つかる。
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