藤瘤は、果たして癌に効くか
- 2019/01/10
- 18:09
昭和33年夏の『易学研究』に「藤瘤は、果たして癌に効くか」と題した柳原田呂吉氏の占例が寄せられている。
柳原氏の易占は、霊感占の要素があるように感じられ、我々に参考になるところは余り無いのだが、内容が面白いので、ここに全文を転載させて頂く。
なお、中山氏が「漢方療法の経験」と題して、168名の患者にWTTCを投与した症例を発表した「癌化学療法に関するパネルディスカッション」が『日本医師会雑誌』に載ったのは、昭和34年6月の号であるから、その一年ほど前のことであり、藤瘤の抗癌作用に注目が集まる直前のことのように思われる。
~~~~~~~~~~~~以下引用~~~~~~~~~~~~
それは本年の六月初めのこと、妻の実家から手紙が来て「母が体の具合が悪いから、姉さんに一度おいでて貰いたい」という弟嫁からのたよりでした。
妻は母のことなので取るものもとりあえず翌日直ぐ生家へ行きましたが、弟の嫁たちが手紙を寄こしたことは母に内密だつたと見え「何の用事で来たのか」と母から言われるような有様でした。
見れば母は顔色わるく、普段は肥つていたのが非常に痩せています。
きけば下腹部が痛み、下血出血がするというのでした。
前から南方一里計りの所の医師の許へ治療に通つているが、最近その医師から「子宮のわるい所を専門医に切つて貰うと楽になるがね」と言われたので、七十五歳の老年でもあるし、恐怖と落胆から、それからというものは家の人達が何を言つても少しも取り合おうとせず、医師の所へ行こうともしないので困つている ――― というのでした。
弟嫁としても、どうやらそれが子宮癌らしく、世間一般の通念として不治と言われているだけに、次第に悪化衰弱を見せてゆく姑の姿を見るに忍びなかつたからでした。
そして弟嫁が私方へこうした相談をもちかけて来たというのも、以前私がこの義母の病気をまじない法で治した前例があるので、何とかこの病人を治す方法はあるまいかという ――― 而かも病気が容易ならぬものであるだけに、溺れるものはワラをもつかむ ――― それだつたのでした。
妻からこの話をきいた私は直ぐ義弟に手紙を出しました。
兎に角病名をはつきりさせて下さい。その上で又私が知つていることがあればお知らせします。
こうして手紙を書いてから一週間許りたつて返事がありました。
医師の言葉では子宮癌とのことです。
老人のことで手術はいやだし、医者へ無理に行かしてはいるがどうしたものか、困つた ――― という手紙でした。
子宮癌 ――― 兎に角ガンは不治のものと言われているが、本当に治る薬はないのか。
私は無念無想となつて立卦しました。
坎為水は坎を二つ重ねた形です。
病気は楽観を許されません。
坎は水で、血でもあり、又月とも見ます。
この際は治病のための薬の占ですから、私はこの重坎を月二つ重ねて朋の字の意味と見ました。
そして変卦風水渙の外卦巽を木として、木に朋の字を加えると棚の文字となります。
フジ棚、ヘチマ棚、ブドウ棚等です。
が、月の文字が入つたものと言えば藤しかないのです。
藤は草冠に月扁で、つくりは泰と書く。
この藤には二種ありますが、月を白しとしますから無論白藤の方です。
藤の木と言つてもこうした植物は枝の別れ目、いわゆる藤の瘤というような所に、この木の精分が集つている筈です。
私は上のような解釈のもとに、兎に角手紙を書きました。
私は内心本当にこれが癌に効くかなと思いながら、白藤の瘤の所を削つて煎じて飲んでごらんなさい。
尚これは易の占いとは関係ないことですが ――― 私が会得した弘法大師御相伝の病気封じのまじない法で、まじなつてあげますと手紙で知らせておきました。
妻の実家でも無論悦んで、何分お願いするという弟夫婦の懇篤な返事でした。
私は六月十四日、この義母のまじないを修法して、その結果を待ちました。
越えて七月四日、妻はH市へ出て帰りに実家へ寄つて見ました。
その結果 ――― 義母は前にくらべずつと顔色がよくなつて来たとのことです。
あれから藤瘤を煎じてのんだが、この頃では腹痛下血もなく、医師の言葉では患部の腫物というか ――― そういつたものが非常に小さくなつてしまつて、快癒に近いとのことです。
こんなものが効くのかと、私自身疑つていた藤瘤が効を奏して、手術を ――― と言われた義母の病気が征服されつつあるわけでした。
私がこの義母の病気をまじなうのは三回目ですが、いつも不思議に治つています。
これはこの義母が弘法大師を信仰しているので、弘法大師相伝のまじない法がよく功をあらわすのかもしれません。
癌がまじないで治つたのではなく、藤瘤が事実効を奏したことは確実ですが、藤の瘤がどうして癌に効くか、薬学の専門家の検討をお願いしたいと思います。
私はただ、易の占いに基づいてこれを考え出し、而かも現実に奏効したという事実を報告するだけであります。
尚終りに私はこの藤瘤の成分について或る漢法薬研究に熱心な薬剤師に質問して見た所、その成分は不明との返事でした。
私は此の占例は単なる一事例であるかもわかりませんが、世の薬学者諸先生に依つて此の藤瘤の癌に及ぼす影響の謎を解いていただければ、それは私一人の仕合わせではなく、多くの癌患者にも喜びを齎らすことになりはしないかと私は空想しています。
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