昭和は遠くなりにけり②
- 2019/01/19
- 13:41
明治期に事実上廃絶されて、その後細々と命脈を保った我が国の漢方医学は、昭和に入ると一部の有志たちの奮闘によって俄かに活況を呈し、ついには保険適用を受けるまでの復興を遂げた。
とは言え、明治以前のように主流医学に返り咲いた訳ではなく、熱心に取り組むものほど奇異の目で見られていることは、依然として、かつての地位が回復された訳ではないことを物語っている。
昭和漢方は、謂わば病名漢方に堕して行く流れでもあって、全てを手放しで賞賛する事は勿論出来ぬとしても、戦前の漢方誌を覗き見ると、やはり我々は其処に古き良き昭和の香りを嗅ぎ取るのである。
古典に見えていて、名前だけなら誰もが知っているものの、昨今日本では使われない、否、使うと御用になってしまうようなイカした方剤が、昭和の時代には、製剤化の広告が載せられている。
大黄䗪虫丸や化毒丸、紫圓六味丸の如き方剤が、なんと「常に用意調製」していて、「其他稀有漢薬類等廉価販売」しており、「どしどし御照会下さい」とは誠に頼もしい限りだ。
しかも、「生々乳口訣」なる水銀剤に関する冊子まで配布しているというから、シビれさせてくれるではないか。
電話番号の「ゴクイイナ」という微妙な語呂合わせもまたイイ。
後になると、価格がきっちり表示されるようになるが、ゴキちゃんの錠剤は中々高価である。
もはや戦後ではなくなった昭和38年になっても、漢方誌には、たまらないラインナップの製剤広告が掲げられている。
天雄散や赤丸、皁莢丸、赤石脂丸などもナイスだが、肥児丸や起廃丸などといった聞き覚えのない処方にも興味をひかれる。
製剤になっているという事からして、当時はそれなりに使用頻度の高い薬方であった事が窺われよう。
嗚呼、昭和は遠くなりにけり!
とは言え、明治以前のように主流医学に返り咲いた訳ではなく、熱心に取り組むものほど奇異の目で見られていることは、依然として、かつての地位が回復された訳ではないことを物語っている。
昭和漢方は、謂わば病名漢方に堕して行く流れでもあって、全てを手放しで賞賛する事は勿論出来ぬとしても、戦前の漢方誌を覗き見ると、やはり我々は其処に古き良き昭和の香りを嗅ぎ取るのである。
『漢方と漢薬』昭和11年5月号より
古典に見えていて、名前だけなら誰もが知っているものの、昨今日本では使われない、否、使うと御用になってしまうようなイカした方剤が、昭和の時代には、製剤化の広告が載せられている。
大黄䗪虫丸や化毒丸、紫圓六味丸の如き方剤が、なんと「常に用意調製」していて、「其他稀有漢薬類等廉価販売」しており、「どしどし御照会下さい」とは誠に頼もしい限りだ。
しかも、「生々乳口訣」なる水銀剤に関する冊子まで配布しているというから、シビれさせてくれるではないか。
電話番号の「ゴクイイナ」という微妙な語呂合わせもまたイイ。
『漢方と漢薬』昭和13年1月号より
後になると、価格がきっちり表示されるようになるが、ゴキちゃんの錠剤は中々高価である。
『漢方の臨床』昭和38年1月号より
もはや戦後ではなくなった昭和38年になっても、漢方誌には、たまらないラインナップの製剤広告が掲げられている。
天雄散や赤丸、皁莢丸、赤石脂丸などもナイスだが、肥児丸や起廃丸などといった聞き覚えのない処方にも興味をひかれる。
製剤になっているという事からして、当時はそれなりに使用頻度の高い薬方であった事が窺われよう。
嗚呼、昭和は遠くなりにけり!
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