昭和は遠くなりにけり③
- 2019/01/22
- 18:36
『漢方と漢薬』昭和17年10月号より
『漢方と漢薬』を斜め読みしていて、日本食薬研究所が刊行した『通俗漢方医学の話』なる書籍の広告が目に留まった。
「通俗」とあって、ナトリームだのカリユームだのとある辺り、食養よりの書物なのではないかと思うが、「排毒素療法」の項目に、「バナナの中毒」「玉子の中毒」という奇妙な見出しがある。
インドにバナナを大量に食わせて解毒を行う療法があると聞いたことがあるものの、普通に読めばここはバナナによる中毒を言うのではないかと思うが、どうなのだろう。
玉子も食い過ぎると中毒を起こすのかどうか、板東英二にでも聞いてみないと判らない。
しかし、昭和17年と言えば、戦争の真っ只中で物資もどんどん欠乏して行く時代であり、中毒になる程バナナが食えるような人というのは余程の富裕層に限られた筈。
また、「排毒素療法」の中に、「頭痛の分類」だの「禿の分類」だのが含まれているのも聊か奇妙。
昭和の広告の味わい深さ、尋常一様ではない。
もっとも、平成の広告とて半世紀後に好奇の目を以て見られないとは言い切れない。
グルコサミンのサプリメントだの、スッポン黒酢だの、怪しげな商品はそれこそ掃いて捨てる程市場に溢れているようだ。
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