『問答式漢方要抄』林二原著
- 2019/04/23
- 18:38
『問答式漢方要抄』林二原著(1989年刊)
粟島行春先生が、韓方の名家で最も親しくしておられたのは林二原という先生で、脈診では韓国随一の名人として知られた人らしく、殊に胎児の性別判断は百発百中であったそうな。
試しに、妊婦でない者を妊婦と偽って脈診させたところ、しばらく脈を診た後で、「この人は妊娠していないようです」と応えられたのは、まさに名人の面目躍如だったと、粟島先生はよく話されていた。
なお、脈診の大家というだけあって、問診も何も要らなくて脈だけで薬方を決めるそうだが、粟島先生が処方してもらったところ、さっぱり効き目がなかったらしく、どうも、日本人と韓国人とでは体質に差があって、経験的なものが生かせないのではないかという話であったけれど、こういう話は中国の老先生絡みでも時折耳にする。
『問答式漢方要抄』は、この林二原先生が1989年に出されたもので、恐らく出版は全面的に粟島先生が支援されたものではないかと思う。
ハングルなら我々もお手上げだが、幸い漢文なので、何とかなる。
ところで、矢数道明先生の「温知荘雑筆(7)」(『漢方の臨床』昭和49年9月号)に、ソウル市の薬剤師林氏というのが登場し、この林氏というのが、林二原先生その人ではないかと私は想像する。
いずれにせよ、この林二原先生も先の趙奎慶先生同様、その後の消息不明につき、ご存知の方からのご一報をお待ちしたいと思う。
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