新型肺炎SARSと運気論
- 2019/05/04
- 14:39
今日五運六気の説に取り組んでいる人はそれほど多くなく、臨床に応用しようという試みも少ないが、2002年11月から翌年7月にかけて、中国南部を中心に新型肺炎SARSが流行した際、鄧鉄涛先生は、運気論による予測を行って其の終息時期をほぼ正確に的中させ、其の有効性を証明してみせた。
鄧先生は、2003年が運気論にいう火運不及の年であり、司天は太陰湿土、在泉は太陽寒水であるから、湿寒の気候に適合して流行を見るが、六月に至れば天の気は暖に転じる為、湿寒の疫であるSARSは収束すると予想したのである。
加えてSARSが再流行する可能性は低いとしつつ、別の伝染病の流行の可能性について示唆したところ、鳥インフルエンザが流行して同年12月には香港政府がヒトへの感染例を公表(H9N2型)する事態となり、再び予言を的中させたのは、ただただ見事と言う他ない。
この事例は、現代においても運気論が有効であることを物語るが、我が国では湯液家の取り組むところのものとなっておらず、むしろ、そこから「子午流注」や「霊亀八法」といった時間鍼灸学が派生している関係で、運気七篇は鍼灸分野において主に読まれているようである。
しかし、もともと運気論は薬物療法を念頭に置いて展開されたものであることを忘れてはならないだろう。
庵主の師は亡くなる前の最期の十年を只管運気論の研究に充てられたが、運気論を応用することで、処方中の一味一味が病証に正確に的中するようになる点を力説されていた。
鄧先生は、2003年が運気論にいう火運不及の年であり、司天は太陰湿土、在泉は太陽寒水であるから、湿寒の気候に適合して流行を見るが、六月に至れば天の気は暖に転じる為、湿寒の疫であるSARSは収束すると予想したのである。
加えてSARSが再流行する可能性は低いとしつつ、別の伝染病の流行の可能性について示唆したところ、鳥インフルエンザが流行して同年12月には香港政府がヒトへの感染例を公表(H9N2型)する事態となり、再び予言を的中させたのは、ただただ見事と言う他ない。
この事例は、現代においても運気論が有効であることを物語るが、我が国では湯液家の取り組むところのものとなっておらず、むしろ、そこから「子午流注」や「霊亀八法」といった時間鍼灸学が派生している関係で、運気七篇は鍼灸分野において主に読まれているようである。
しかし、もともと運気論は薬物療法を念頭に置いて展開されたものであることを忘れてはならないだろう。
庵主の師は亡くなる前の最期の十年を只管運気論の研究に充てられたが、運気論を応用することで、処方中の一味一味が病証に正確に的中するようになる点を力説されていた。
(『素問運気論と農用気象学』参照)
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