澤瀉を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2019/09/27
- 18:10
サジオモダカ(2019年8月19日/大阪市内)
生薬探偵稼業も既にやり尽くしたと言って差し支えない境地に到達しているが、それでも100%完全制覇したかと言われれば、いくらか大阪府下で見い出せていないものがあるにはある。
そんなのに出会えるのは、せいぜい年に一つか二つ位という状況がここ数年続いているが、先月ようやく出会えたのが写真のサジオモダカで、この塊茎を乾燥したものが澤瀉である。
澤瀉は『神農本草経』に上品として収載されるところから判るように古くから古代支那人に知られた薬物であって、仲景方では、五苓散・猪苓湯・腎気丸・茵蔯五苓散・澤瀉湯・牡蠣澤瀉散・当帰芍薬散・茯苓澤瀉湯の計八方に用いられている。
茯苓や白朮などと共に利水を目的として用いられる事が多いが、利水の作用はそれらの中でも特に強い。
吉益東洞は、「小便不利、冒眩を主治するなり。傍ら渇を治す。」(薬徴)と言っている。
本来、我が国では北方に自生するもので、西日本のものは栽培の逸出と考えられている。
一応希少種ではあるのだが、逸出であるらしい事と、群落を形成していたので、一株手で引っこ抜いてみたところ、見事な薬用部位を観察出来た。
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