肺炎どうなるナリー
- 2020/02/01
- 14:21
プリ画像より
武漢発の新型肺炎通称“コロちゃん”は、先ほどのNHKニュースによれば、中国国内の患者数が1万人を突破し、死者は259人にのぼっているという。
2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)では、世界全体で774人の死亡者を出したというが、感染者数は計8096人だったらしいから、すでに中国国内の感染者数だけで圧倒してしまっているのである。
SARSの時は、不思議と我が国にはウイルスの持ち込まれる事が無かったので、所詮は対岸の火事に過ぎなかったが、今回は国内でも続々と感染者が確認されていて、まさに“ザ・パンデミック”の様相を呈して来ているようだ。
肺炎で死ぬ老人はそれこそ掃いて捨てる程居る筈なので、十中八九まで感染したら助からないエボラ出血熱の如き疫病と比べれば、恐るるに足らずと思わぬでもないが、今回は石油が値上がりしたと聞いただけでトイレットペーパーの買い溜めに走るような付和雷同を信条とする我ら日本人のみならず、世界中の人々が恐怖に慄いていると聞くから、やはりそれなりにヤバい事態なのであろうか。
とりあえず、国内での今後のコロちゃんの流行について六変筮で揲筮してみた。
定三法で本卦を検討した場合、雷地豫は地下の一陽が漸く地上に現れ出でた象であり、季節で言えば春の卦であるところからしても、現在の温病流行の始めと観て良いかと思う。
陽爻をコロちゃんと観た場合、配される爻卦が抑止を表す艮であるのは安堵させてくれる点ではあるが(もし、これ震であれば、大流行の兆しを観る)、之卦の火水未済は全爻不正で、かつ東洋医学の観点からは心腎不交の凶卦とも観る事が出来るので、あながち安心とばかりも言えないようだ。
坤為地を日本の国土と観た場合、そこに上陸した一陽のコロちゃんが爻変によって消えてくれずに、之卦では二陽を増やして三陽の国土に散らばった象となるのを観れば、不穏なる卦象である。
ただ、エボラ出血熱のような感染即御陀仏型の疫病ではないから、単純に本之卦を検しても、そこまで凶兆の強い得卦ではないし、爻卦に病を表す坎や熱を表す離の一つも見えて居らぬところからして、それほどの事態には至らぬものと私は観る。
ところで、先日、加藤先生とイタリアンで会食した際、話は当然コロちゃんにも及んだが、現在中国の現場でも色々試行錯誤の段階らしいが、今の時点では、板藍根で予防し、発症したら銀翹散という温病の王道路線で対処するのが現実的だろうというのが加藤先生のご見解であった。
馬鹿の一つ覚えみたいに使用される板藍根であるが、コロちゃんに対する予防効果は水火既済九五で、それなりに効きそうではある。
しかし、このようなパンデミックのニュースを耳にする度に思い出されるのは、ちょうど一年前、102歳で長逝された温病学派の至宝鄧鉄涛先生の存在で、ご存命だったら、どのような薬方を以て此の事態に臨まれたであろうか。
外邪という概念を認めておられなかった鄧先生は、SARS流行の際も、マスクを着けずに治療に当たられ、一人の死者をも出さなかったという。
まさに温病学派の、いや中国医学における真の名人の面目躍如といったところであろう。
湯液の原典は言わずと知れた『傷寒論』であるが、宋板に附された所謂仲景自序では、執筆の動機について、僅か10年に満たぬ間に疫病で一族の三分の二が死亡した事であると云っている。
傷寒に散った夥しい死者を念頭にして『傷寒論』が書かれたように、致死性の伝染病が頻繁に流行する南部広州から鄧鉄涛先生の如き医傑が現れた事の必然を思うとき、きっと今回の阿鼻叫喚の地獄絵図のような医療現場から、未来の鄧鉄涛の如き人物が現れ出でる事を庵主は信じて疑わないのである。
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