やっぱり似たもの同士
- 2020/05/10
- 18:44
『深沢七郎の滅亡対談』(ちくま文庫/1993年刊)
山下清と言えば、深沢七郎(1914~1987)の対談集『滅亡対談』に収められた「やっぱり似たもの同士」も面白い。
深沢七郎と言えば、言わずと知れた『楢山節考』の作者であるが、あらかじめ其の話を吹き込まれていた山下画伯は、姥捨て山の話が気になって仕方がない様子で、恐らくもう姥捨て山の話題はうんざりしているであろう深沢は話題を変えようとするも、同席した弟の山下辰造(1928~2003/この人も画家で、清の没後に所定鑑定人となった)がむしろ姥捨て山の話に持って行こうと煽っているような感じがする。
ところで、我が父が昭和30年前後に実際に見た山下清は、小柄で芦屋雁之助のような肥った風貌ではなかったらしい。
それはそうだろう、清の放浪は時には電車にも乗ったらしいが、基本的には徒歩を信条としていたらしいし、昭和20年代にルンペンで太るほど食べる等出来よう筈がない。
また、雁之助が演じたようなおっとりした喋り方でもなく、かなり前のめりに早口で喋る癖のあった事を、昔、三宅裕司が司会をしていた『驚きももの木20世紀』という番組の特集で知ったが、いかに自分が雁之助が作り上げた山下清像に親しんでいたかが良く判った。
今、Wikipediaで同番組の放送一覧を確認してみると、1994年の1月14日に放送されたものであるということで、実に26年も前に見た番組である訳だが、たまたま録画していて何度も観返したから、四半世紀を経た今でも内容の詳細をかなり思い出す事が出来る。
BGMに使われている「グリーンスリーブス」が、何とも言えない良い味を出していたように思うが、この頃には、『ワーズワースの冒険』など妙にノスタルジックな番組が多かった気がする。
そういえば、エンディングで香港のロックバンド BEYONDの「遥かなる夢に 〜Far away〜」が使われていたが、いい曲だった。
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