『諸怪志異』諸星大二郎著
- 2020/07/19
- 13:55
『異界録』諸星大二郎著
諸星大二郎(1949~)の代表作として、Wikipediaは『妖怪ハンター』『西遊妖猿伝』『栞と紙魚子』の三作を挙げている。
発行部数の上位三位までを順番に並べたものなのかどうかよく判らないが、私なら迷う事なく『諸怪志異』を推す。
処女作の『暗黒神話』を第一に推す人も少なくないが、『孔子暗黒伝』と同じく、だんだん話の内容がよく判らなくなって来るのは同様で、その点、本シリーズは単純明快な一話完結型の為、頭が混乱させられるという欠点もない。
メインキャラクターは、道士の五行先生と霊視能力を持つ弟子の阿鬼で、シリーズ名の『諸怪志異』は、言わずと知れた蒲松齢『聊斎志異』のパロディ。
奇譚モノに不案内な庵主には、どの話が完全な著者のオリジナルで、どれが古典に材を取ったものか判然とせぬが、子供の頭でも問題なく内容に付いて行く事が出来、かつ大人の鑑賞にも耐えるという事実だけで、推奨する理由としてはもう充分だろう。
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