倩女幽魂
- 2020/07/22
- 18:32
『聊斎志異』への言及ついでに、其の中の一説「聶小倩」を原作とした或る映画について触れておきたい。
言わずと知れた『倩女幽魂』、我が国では『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の名で知られる香港映画だ。
集金人として糊口をしのぐ貧乏書生が郭北県の荒れ寺・蘭若寺で出会って女幽霊と恋に落ちる物語で、そこに、同寺に巣食う老木の妖怪との闘いが絡めて描かれるものだが、実のところ原作に目を通していないので、どの程度の脚色があるのかはよく判らない。
この映画はまだVHSの時代に、それこそ擦り切れる程観返したものだが、女幽霊を演じるジョイ・ウォンがあまりに美しく、その尋常ならざる透明感は、庵主に忘れがたい清冽な印象を残した。
正直なところ、広末涼子ちゃんが96年にポケベルのCMで眼前に其の姿を現すまで、ジョイ・ウォン以上に清楚な女性はこの世に存在しないと、庵主は信じて疑わなかったのである。
其の後のジョイ・ウォンが出ていないリメイク作品など観る気も起きないのは当然だろう(もっとも最初の映像化は1960年にリー・ハンシャン監督で為されているから、本作もまたリメイクではあるのだが)。
ところで、このシリーズは三作あって、レスリー・チャン(張國榮)とウー・マ(午馬)が1,2、ジャッキーチュン(張学友)とラウ・シュン(劉洵)が2,3に出ていて、すべてに出演しているのはジョイ・ウォンだけだと思い込んでいたけれど、随分後になって1と3で老木の妖怪を演じているラウ・シウミン(劉兆銘)が、濡れ衣で護送される元高級官僚役で2に出ているのに気が付くまでに恥ずかしい程時間がかかってしまった思い出がある。
加えて、老木の妖怪を演じているのはてっきりオバハンだと思い込んでいたのだが、男優である事にも長らく気づかずに居たのだから情けない。
余談ながら、ラウ・シウミンが岳不群を演じた『スウォーズマン 剣士列伝』も好きな映画で、庵主が金庸作品に触れた最初であった。
『倩女幽魂』は主題歌やBGMも中々優れた名曲揃いで、特にレスリー・チャンの歌う一作目の主題歌など、昔はよく口ずさんだものだ。
サリー・イップの歌う挿入歌「黎明不要來」もいい。
ジャッキー・チュンの歌う2のオープニング「人間道」
同じくジャッキーチュンの3のオープニング
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