『易占例集』宇澤周峰監修
- 2020/11/01
- 17:17
『易占例集』宇澤周峰監修(虹有社/2004年刊)
三変爻辞占のバイブルと言えば、言わずと知れた高島易断の名を誰もが挙げるに違いないが、これから易占を始めようという段階の素人同然の人相手にあんな高価な本はとても薦められないし、薦めたところで実際には誰も手にしないのではないかという気がする。
少なくとも、初学者にいきなりあんな本を読ませようと試みるのは、如何にして易の学習を諦めさせようかという殆ど嫌がらせの範疇であろう。
といっても、呑象の占例は頗る面白いものが少なくないし、初学者がちょっと覗き見て易の面白さ楽しさというものを垣間見るという効用も無いとは言い切れまい。
そんな場合に手軽なのは、易断に見る明治諸事件で、文庫本というハンディさもいいし、占例も厳選してあって久しぶりに読み返してみても楽しい読みものであるという感を再確認する事が出来る。
私が入手した時は既に絶版だった為、定価の倍くらいで購入した気がするが、今Amazonに出ている中古本は数百円程度のものがあるようだから、未読の方は初学者に限らず買っておかれると良いだろう。
他に爻辞占の占例集で今でも新本で入手出来る本だと、2004年に出た『易占例集』を薦めたい。
監修者の宇澤周峰先生は所謂大岳易の系譜に連なる易占家で、本書は監修者自身のものを中心に門人らの占例が併せ収められている。
得卦も占考も至って平明で初学者には特に有益だろう。
問筮の内容も『高島易断』にあるような時代がかったものは見られず、身近なものばかりで親しみが持てる。
いつもこんな平明な占ばかり出来るなら誤占などありっこないが、ここは占例学習に最適なように綺麗な占ばかり収載されているところに意味がある訳だ。
6600円という価格は初心者には一瞬躊躇する微妙な設定に感じられるかもしれないが、阿漕な値付けが常態化している占い本の世界では頗る良心的(項数は400ぺージを超えているし、紙質も良く、しかも函入り)。
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