さらば彖象伝
- 2021/03/20
- 11:21
『周易』の現行テキストでは彖象伝は経文中に雑入される形式となっていて、「卦辞・彖伝・大象伝・爻辞(小象伝交互)」という体裁を取っているものの、経文とその注である彖象伝とは本来全く別のものである訳だが、かかる改変を行った下手人(?)については大きく分けて三つの説があり、孔穎達は魏の王弼だと言い、顧炎武は後漢の鄭玄だとし、皮錫瑞らは費直の手に為るとする。
現行テキストは費直の古文易の系統であるから、いずれにせよ費氏古文易の系譜に連なる何者かが行った改変であるのは間違いないようだ。
王弼は老荘を以て解釈するという点で儒者の流れとは異質であるけれど、実は伝に依拠して経を説く其のやり方は費氏易の伝統を踏襲するもので(費直には章句の著がなく、ただ十翼を以て経文を解釈したのみという)、テキストもこの古文易の系統が用いられたという。
ただし、現行テキストにも古態は幾らか残されていて、乾為天のみ大象伝と小象伝とが一緒に纏められているのがそれであるらしい。
このような改変が行われたのは、勿論経と伝とが別々の書物になっていると学習に甚だしく不便を生ずる為であろうが、経文の読みを彖象伝の作者の解釈に押し込めがちになるという欠点もある。
だから一通り学んでみて儒家流の経文解釈というのが掴めたら、純粋に経文のみを読んで行く方が良いように思う。
実際、私自身講座に使用しているテキストから経文以外を除外したものを作って読んでみたのだが、むしろ彖象伝が意外に記憶を阻害しているのではないかと感じるようになった。
勿論、彖象伝を削ると文字数は半分以下になる訳だから、その分記憶が容易になるのは当たり前であるけれど、彖象伝が除かれる事で眼前に提示されるシンプルな判り易さは、やはり彖象伝が読みにくいものである事の証ではないかと思われる。
現行テキストは費直の古文易の系統であるから、いずれにせよ費氏古文易の系譜に連なる何者かが行った改変であるのは間違いないようだ。
王弼は老荘を以て解釈するという点で儒者の流れとは異質であるけれど、実は伝に依拠して経を説く其のやり方は費氏易の伝統を踏襲するもので(費直には章句の著がなく、ただ十翼を以て経文を解釈したのみという)、テキストもこの古文易の系統が用いられたという。
ただし、現行テキストにも古態は幾らか残されていて、乾為天のみ大象伝と小象伝とが一緒に纏められているのがそれであるらしい。
このような改変が行われたのは、勿論経と伝とが別々の書物になっていると学習に甚だしく不便を生ずる為であろうが、経文の読みを彖象伝の作者の解釈に押し込めがちになるという欠点もある。
だから一通り学んでみて儒家流の経文解釈というのが掴めたら、純粋に経文のみを読んで行く方が良いように思う。
実際、私自身講座に使用しているテキストから経文以外を除外したものを作って読んでみたのだが、むしろ彖象伝が意外に記憶を阻害しているのではないかと感じるようになった。
勿論、彖象伝を削ると文字数は半分以下になる訳だから、その分記憶が容易になるのは当たり前であるけれど、彖象伝が除かれる事で眼前に提示されるシンプルな判り易さは、やはり彖象伝が読みにくいものである事の証ではないかと思われる。
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