彖象伝とポジティブシンキング
- 2021/03/23
- 18:03
大体に於いて易の教えというのは戒慎恐懼を以て其の宗旨とする孰れかと言えば控えめなもので、危ぶみ懼れて凶を避ける事を教える辞が卦爻中に躍っており、積極的に障害を打破して成功を掴むといったアングロサクソン好みの人生観とは相容れないところがあるように思われる。
しかし、十翼中の彖象伝は儒家者流のポジティブシンキング(?)に溢れていて、易を学び始めた初学者を惑わせる効の大なるものがあるようだ。
易に於ける吉凶は相対的なものに過ぎず、これが吉卦でこれが凶卦だという明確な線引きなど出来ないのだが、一般には甚だ面白からぬ卦からでも前向きな教訓をひねり出そうという態度は特に大象伝に顕著である。
山風蠱のように易について何らの理解がない人にさえ字面から凶意を容易く感じさせてくる卦からも「君子以て民を振い、德を育う」と前向きな教訓を引き出し、山地剝の如き凶兆濃厚でかつ勢いの鋭い不気味な卦からでも大象伝の作者が引き出すのは「上以て下を厚くし、宅を安んず」という、いずれかと言えばノンビリした語調さえ感じさせる警句なのである。
しかし、大象伝は殆ど実占に直接用いられる事のない部分であるのに、好きな易辞を一つ選べと言われたら、多くの人は大象伝からの言葉を挙げる事が多いのは面白い。
私は最近知ったのだけれど、精華大学の校訓は、乾為天と坤為地の大象伝を併せた「自強不息、厚徳載物」であるという。
そういえば、庵主も何年か前、万能算木を製作した際、一緒にローズウッドのペンケースにレーザー彫刻を施してもらった事があるのだが、無意識のうちに大象伝からの辞を選んだ事を思い返している。
この時、もう一つ製作して奈良場老師にも進呈したのだが、師もまた同様に大象伝中の文句を好むところの易辞として挙げられた。
今度、大象伝だけ抜き出し、集中して鑑賞してみるのも楽しいかもしれない、とそんな事を今考えている。
しかし、十翼中の彖象伝は儒家者流のポジティブシンキング(?)に溢れていて、易を学び始めた初学者を惑わせる効の大なるものがあるようだ。
易に於ける吉凶は相対的なものに過ぎず、これが吉卦でこれが凶卦だという明確な線引きなど出来ないのだが、一般には甚だ面白からぬ卦からでも前向きな教訓をひねり出そうという態度は特に大象伝に顕著である。
山風蠱のように易について何らの理解がない人にさえ字面から凶意を容易く感じさせてくる卦からも「君子以て民を振い、德を育う」と前向きな教訓を引き出し、山地剝の如き凶兆濃厚でかつ勢いの鋭い不気味な卦からでも大象伝の作者が引き出すのは「上以て下を厚くし、宅を安んず」という、いずれかと言えばノンビリした語調さえ感じさせる警句なのである。
しかし、大象伝は殆ど実占に直接用いられる事のない部分であるのに、好きな易辞を一つ選べと言われたら、多くの人は大象伝からの言葉を挙げる事が多いのは面白い。
私は最近知ったのだけれど、精華大学の校訓は、乾為天と坤為地の大象伝を併せた「自強不息、厚徳載物」であるという。
写真はweb上より拝借
そういえば、庵主も何年か前、万能算木を製作した際、一緒にローズウッドのペンケースにレーザー彫刻を施してもらった事があるのだが、無意識のうちに大象伝からの辞を選んだ事を思い返している。
この時、もう一つ製作して奈良場老師にも進呈したのだが、師もまた同様に大象伝中の文句を好むところの易辞として挙げられた。
今度、大象伝だけ抜き出し、集中して鑑賞してみるのも楽しいかもしれない、とそんな事を今考えている。
スポンサーサイト