算木を磨く
- 2021/10/01
- 18:24
蓍策を用いるようになれば当然算木の出番も増えて行く。
勿論朱子のように漆板に墨書するという味わい深い懐古趣味も悪くはなかろうが、如何せん手間がかかるし、墨があらぬところに飛んでしまうとそれを揉み洗いするという又別の手間がかかってくるのは流石に煩わしい。
愛用しているのは以前フルオーダーで作った万能算木だが、機械加工だった為、角に嫌なささくれがあり、使用しているうちに是れが段々気になって来た。
算木敷に見立てたランチョンマットの上でクルクル引っ繰り返すのだが、その際、ささくれの部分にマットの繊維が引っ掛かってしまうのである。
それなら削れば良いじゃないかという話なのだが、朱入れ代を浮かす為にセルフ作業にした結果、送られてきた時にはマスキングテープが巻かれていて、ささくれに気が付いたのは朱入れを行った後だったのだ。
普通の両象算木なら兎も角文字の入った爻卦算木を完成後にペーパー掛けして良いものかどうか判断が付きかねたので、そのまま使用していたのだが、ついに意を決して研磨してみることに。
予想では二時間程度の作業になる筈が、朱入れ箇所を傷つけないよう丁寧に磨いていたらナント5時間もかかってしまった。
研磨完了後、触ってみると、当たり前だがスベスベしていて感触が全く違う。
最後は得意の亜麻仁油フィニッシュだが、仕上がりは以前とは別の算木かと思われるくらいに美しくなった。
陽の位が研磨して亜麻仁油を塗ったもので、陰の位が手を入れていない算木である。
写真ではオイルフィニッシュした分黒っぽくなっているという程度の違いしか判らないと思うが、現物は比較にならない高級感を漂わせていて、これは作業した甲斐があったというもの。
ケロクもそうだが、最終仕上げは大切で、2000番の細かいペーパーで如何に時間をかけて磨くかが重要であるようだ。
市販品をお使いの方にも有効な御手入れに思われるので、是非一度時間をかけて愛用のお道具をカスタマイズしてみられることをオススメする。
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