「け」と「か」
- 2021/11/25
- 18:12
易の勉強を始めた当初、どうということのない単純な語句でもどう読めば良いのか戸惑ったものが少なくなかった。
ひょっとすると長いこと易学に親しんでいてさえ、イザ問われてみると自信を持っては答えらないという人も多いのかもしれない。
たとえば、「卦」を「か」と読むか「け」と読むか。
少し漢学の知識がある人なら、中国的なものは漢音で読み、仏教語に限っては呉音で読むのが我が国に於ける習わしだから、本来「卦」は「かい」と読むべきが、この字に関しては慣用音「か」を優先して読むべきだ等と気の利いた事が言えるかもしれない。
そうすると、「八卦」は「はっけ」とは読まない事になるが、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」のように慣用句になっているものは「はっけ」と読んで誰も「はっか」まして「はちかい」とは読まない。
同様に、「易経」を読者諸賢はどのように読まれているだろうか。
本来なら「えきけい」と読むべきものの筈である。
しかし、専門家でも大抵は「えききょう」と読んでいるのではなかろうか。
同様に、「詩経」や「書経」を「しけい」や「しょけい」とは普通読まず、「きょう」読みに従うのが普通ではないかと思う。
中国に十年の滞在経験を持ち、現在も世俗を超越した学究生活を送る友人某氏に一度尋ねてみた事があったが、五経を「きょう」読みにしているのは漢学というよりは国学上の問題に起因しているのではないかという風な答えであった。
私は国学については甚だ不案内なので、この点についてはよく分からないのであるが、思うに「易経」「詩経」「書経」という名称はかなり古くまで遡る事は出来るものの、実際に一般化して来るのはようやく宋代になってからのことで、我が国に於ける宋学輸入の担い手となったのが禅僧であったことと関係しているのではないかという気がする。
漢音か呉音か等我が国だけの特殊事情で、さして重大な問題でもないのだが、本によってルビが異なると殊に初学を徒らに迷わせるから、少なくとも講述する側に立っている人は一応心に留めておいた方が良いことと思う。
「龍」も漢音なら「りょう」となって、身近なところでは「坂本龍馬」くらいが「りょう」読みの唯一の例ではないかと思うが、真勢流のように徹底して漢音読みにするべきだとする立場のテキストのみならず、今井宇三郎氏の本も本田済氏の本も「りょう」で読んでいる。
もっとも文章にルビを振る際は私も「りょう」としているのだが、口頭では「飛龍」「見龍」などは「りゅう」読みの方が語感が良い気がして、その時の気分で適当に読み分けているのが実情である。
ひょっとすると長いこと易学に親しんでいてさえ、イザ問われてみると自信を持っては答えらないという人も多いのかもしれない。
たとえば、「卦」を「か」と読むか「け」と読むか。
少し漢学の知識がある人なら、中国的なものは漢音で読み、仏教語に限っては呉音で読むのが我が国に於ける習わしだから、本来「卦」は「かい」と読むべきが、この字に関しては慣用音「か」を優先して読むべきだ等と気の利いた事が言えるかもしれない。
そうすると、「八卦」は「はっけ」とは読まない事になるが、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」のように慣用句になっているものは「はっけ」と読んで誰も「はっか」まして「はちかい」とは読まない。
同様に、「易経」を読者諸賢はどのように読まれているだろうか。
本来なら「えきけい」と読むべきものの筈である。
しかし、専門家でも大抵は「えききょう」と読んでいるのではなかろうか。
同様に、「詩経」や「書経」を「しけい」や「しょけい」とは普通読まず、「きょう」読みに従うのが普通ではないかと思う。
中国に十年の滞在経験を持ち、現在も世俗を超越した学究生活を送る友人某氏に一度尋ねてみた事があったが、五経を「きょう」読みにしているのは漢学というよりは国学上の問題に起因しているのではないかという風な答えであった。
私は国学については甚だ不案内なので、この点についてはよく分からないのであるが、思うに「易経」「詩経」「書経」という名称はかなり古くまで遡る事は出来るものの、実際に一般化して来るのはようやく宋代になってからのことで、我が国に於ける宋学輸入の担い手となったのが禅僧であったことと関係しているのではないかという気がする。
漢音か呉音か等我が国だけの特殊事情で、さして重大な問題でもないのだが、本によってルビが異なると殊に初学を徒らに迷わせるから、少なくとも講述する側に立っている人は一応心に留めておいた方が良いことと思う。
「龍」も漢音なら「りょう」となって、身近なところでは「坂本龍馬」くらいが「りょう」読みの唯一の例ではないかと思うが、真勢流のように徹底して漢音読みにするべきだとする立場のテキストのみならず、今井宇三郎氏の本も本田済氏の本も「りょう」で読んでいる。
もっとも文章にルビを振る際は私も「りょう」としているのだが、口頭では「飛龍」「見龍」などは「りゅう」読みの方が語感が良い気がして、その時の気分で適当に読み分けているのが実情である。
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